【とんでもない司会者の話】
葬儀の進行を務める司会は、自社スタッフが執り行うところもあれば、プロの司会者にお願いする葬儀社も多く存在します。
その為葬儀業界には、葬儀の司会者を専門に派遣する派遣会社や、フリーの司会者が多く存在します。
社長が担当した大きな式のサブ(手伝い)に入った時の話。
スタッフは担当の社長と私を含めたサブが数名、それから葬儀の司会進行役として、社長が手配したプロの司会者。
他の葬儀社でもちょいちょい問題を起こすと、出入り業者から聞いている人物らしく、出来れば避けたかったとのこと。
しかし、葬儀というのはどうもどうも同時期や同地域に集中することが多い。
特に冬の繁忙期ともなれば、売れっ子は元より、若干難有りの司会だって頭を下げて来てもらわねばならない程の売り手市場となる。
いつも頼んでいるフリーの売れっ子司会達や、精鋭揃いの派遣会社にことごとく断られ、司会の横の繋がりを駆使。
ようやく捕まえた司会だから、致し方無し。
背に腹は代えられないってやつですね。
って完全に甘かったね・・・
前説(葬儀の流れや注意事項の説明)から、 噛みまくり、噛み倒しですよ・・・
噛みすぎで何を言ってるのか、半分くらいしか伝わっていないんじゃない?
って状況なのに、何故か本人、
したり顔!
こりゃ、先が思いやられる・・・
会式前のナレーション。
東京生まれ、東京育ちなのに何故か所々訛りながら、 故人様の生い立ちや人柄、心温まるエピソードなどを 一通り紹介。
故人の生まれを「大正12年」じゃなくて、間違って「昭和12年」って紹介してたところとか、故人にはひ孫いないのに
「お子様・お孫様・ひ孫様に囲まれ・・・」って
なんか余計なものが増えちゃった辺りとか、
前半から飛ばし過ぎじゃない!?
そんでもっていよいよ開式へ。
まずは開式前の常套句(決まり文句)から。
ざわつく会場。
若干よろめきそうになる坊さん。
まぁそりゃあそうでしょうね。
会場入りした瞬間、帰らされそうになってるんですから・・・
喪主もびっくり! !!
折角何十万もお布施払って呼んだのに・・・ってね泣
司会も慌てて、
って言い直してましたけど、もう遅いね笑
気を取り直して坊さんの紹介。
「本日お勤めを賜りますご導師は、ご当家菩提寺でございます、
○○宗△△寺・・・だよね?・・・・ご住職でございます」
ウィスパーボイスで「だよね?」って言うたやろー!?
不思議そうな目でこっちを見るなー!!!
あんた・・・プロの司会やろ???
頼むでホンマ・・・
まあ、たぶんのっけからとちっちゃったもんだから、
一瞬テンパっちゃたんだろうね・・・
まぁそんなこんなで式は無事?終了。
坊さん退席後、〆の挨拶へ。
イロイロあったけど、終わりよけば全て良し。
ビシッと頼むで!
「これにて故□□様、通夜の儀を閉式とさせていただきます。 大変にお疲れ様でございました。
ここで明日の告別式のご案内をさせていただきます。 明日の告別式は当斎場におきまして、
午前零時よりの 開式でございます。
皆様方におかれましては、是非明日もご会葬賜りたく、 心よりお願い申しあげます。」
間違いなく、
誰も来ないだろうね!
あんたは勝手に午前零時に来てちょうーだい。
明日の告別式の開始時間は、お昼の12時からだけどね。
ご喪家がとても良い方で、大した問題にはならなかったのが、せめてもの救いでしたが、ホントにこれが自分の担当する葬儀だったらと思うと、背筋が凍りつく思いでした・・・
葬儀終了後に社長が僕にひと言。
「ところで、明日の司会なんだけど・・・ 色即是空君やってくれない???
明日もこんな感じだったら、俺あの司会者の首絞めちゃいそう・・・」
気持ちはわかりますけどね笑
でもこれで、明日万が一私がとちったら、ダメージ半端 無いですからね~
絶対に嫌です!
葬儀は非常に厳粛な場ですから、しくじると結構大変なんです。
まぁ何にせよ、自分が担当の葬儀じゃなくて良かったとしみじみ。
山口百恵さんばりに、マイク静かに、とても静かに舞台にを置いてくれ!
って思ったとんでもない司会の話。