【とんでもない葬儀屋の話】
本日はかなり以前に建てられた、古~い斎場での葬儀だった。
何でも昔は病院だった建物を、一部改装して葬儀場にしたとの話。
僕が一階の受付のセッティングを終えて、5階の斎場に 上がって行くと、葬儀の参列者が食べる料理を持ってきた料理屋のおばちゃん達3人が、ヤバイ、ヤバイと言いながら 何やら井戸端会議中。
トラブル発生かと思い、割って入って何がそんなにヤバイのかと聞くと、この建物の2階がヤバイとのこと。
どうやら会場を間違えて、2階で降りてしまったらしいのですが、ヤバ過ぎてソッコーでエレベーターに乗り込んで、戻ってきたとのこと。
百聞は一見に如かず。 兎に角自分の目で確かめてきてくれと言うので、早速2階へ。
エレベーターを降りると、ひんやりとした薄暗い廊下が 続いた。
長い廊下の奥に、赤く光る霊安室の文字が。
部屋はそれしかないようだったので、取り敢えず霊安室へ。
遺体を保存する大きな冷蔵庫が、暗がりで不気味な音を立てる霊安室の真ん中に、白いシーツに包まれたご遺体が。
これから納棺式といったところか。
他のスタッフが病院からご遺体を搬送してきた為、僕はまだご遺体を見てはいなかったのだが、おそらくこちらが今日の葬儀の主役。
そこでオイラピンときた!
なんて考えながら、手を合わせ、布をめくってみることに。
「ゲゲッ!?」
・・・と言いたいところだが(イヤ、言いたくは無いですが・・・)、いたって普通のご遺体。
角度を変えてあれこれ見てみたが、特に損傷が激しいわけでもなく、やはりいたって普通のご遺体。
そもそも状態が悪ければ、棺に入れずに安置しておくはずもないし。
とりあえず稼働している備え付けの冷蔵庫も、全部開けてみましたが、保存されているご遺体は、全部いたって普通のご遺体・・・
置いてあった椅子に腰掛けながら、しばし考えを巡らしましたが、 結局どうにもこうにもわからんってことで、仕方がないので5階に戻ることに。
おばちゃん達が飛んできて、

って聞くもんだから、
って言ったら、あきれ顔で、


捨て台詞を吐きながら、去っていった。
えっ?そゆこと!?
確かに葬儀屋や納棺師以外は、意外と葬儀業界に携わっていても遺体は見ないもの。
薄気味悪い空間に、白いシーツに包まれた遺体がデーンって置いてあったら、ビビるわな。
でも遺体があったら取りあえず確認しちゃうのが葬儀屋のサガだし。。。
これだけ毎日毎日死と向き合ってて、今更、幽霊がどうのってことでもあるまいし。。。
慣れというか、職業病って恐ろしい・・・
って感じる今日この頃・・・
でもそれってオイラが悪いのか???