みんなのお葬式体験談
斎場を元気に走り回る故人の孫やひ孫を見るに付け、脈々と受け継がれる命のバトンというものを頭に思い浮かべずにはいられません。
そんな役目を終えて命の源へと帰られる人生の先輩へ、バトンを受け取った次世代の担い手からの心温まる贈り物。
火葬のみの【直葬】が増加傾向にある中、葬儀をやることの意味についても併せてお考え下さい。
祖母の葬儀の際、従姉妹の子どもたち、つまり祖母のひ孫たちが心温まる贈り物をしてくれました。
亡くなる数週間前、自宅で転倒し、骨折をしてしまいました。そのまま入院をして、最終的には転倒をする原因となった脳出血のために亡くなりました。
従姉妹はまだ小学生と幼稚園の子どもたちに「【大ばあば】はお空に行っちゃうんだよ」と説明したそうです。
子どもたちは「お空に行く前にお手紙を書きたい」と言って、通夜の前に手紙を書いてくれて、それを祖母の枕元に置いていたのです。
それだけでも嬉しい贈り物なのに、通夜が終わってから子どもたちが自宅で折鶴を折ってくれました。
葬儀会場の祖母が住んでいる街から車で1時間半ぐらいかかるのに、帰ってから折ったそうなので、終わった頃には夜遅くになっていたはずです。
翌朝、葬儀の前に祭壇に折鶴が置かれていました。
従姉妹の子どもたちに聞くと「【大ばあば】は足が痛いから、お空に行く時にこれ(折鶴)に乗っていってね、って言ったの」と言うのです。
祖母の他界は悲しいことですが、なんだか心が温まる葬儀になりました。
感想・解説
この世に生まれたからには、必ずその命を還さなければならない時が来ます。
順当に行けば、目上の肉親の最期を見届けるのは、命のバトンを受け継いだ人間たちの宿命であるわけです。
それは大変に悲しいとです。大変に悲しいことだけれども、人はその悲しみを背負うことによって、人の痛みを知ることが出来る。ゆえに人に人に優しくできるもの。
そしてまたその悲しみを乗り越えたとき、人として、ひと回りもふた周りの成長できるものです。
幼いながらも自分なりに【大おばあ】の死を、誇りを持ってこれをしっかりと受け止め、清らかな気持ちで送り出そうとした命のバトンの継承者たちは、きっと祖先や周りの人を大切にする、優しくて立派な大人へと成長してくれることでしょうね。
そして空から【大おばあ】もしっかり見守っていてくれているばすです。