説得力ゼロ!あんたの説教は誰も聴かん!

【とんでもない坊さんの話】

基本的に仏式の通夜の場合、お寺さんは殆どの方が開式30分前、どんなに遅くとも15分前には斎場に入ります。

祭壇周りの確認や着替え、ご遺族との挨拶、そして僕たち葬儀社サイドの人間との打合せ等々、式前は結構バタバタです。

勿論大切な葬儀ですから、もっと早くに斎場入りする住職も、沢山います。

ところが今回のお坊さんは、30分を切っても姿が見えず。15分を過ぎても一向に現れる気配すら無し。携帯も通じない。

焦る僕!

時間だけがジリジリと過ぎていく・・・

とうとう開式時間をオーバー。

葬儀屋やってりゃ、大渋滞とか大雪とかで極々まれ~にあるけど、普通の人からすれば坊さんが遅れてくるなんて概念があるはずもなく、坊さん遅刻のアナウンスに、妙な空気が流れる会場・・・

するとそこに坊さん登場。

全く悪びれる様子もなく、坊さん専用の控え室に直行!

開口一番、

がめつい住職
住職
「いやー参った参った。これじゃお茶も飲んでる暇も無いね」

ってあんたのせいやろー!!!

そんなこと言いながら、給仕係りの人が気を遣って持ってきたお茶を、実に美味しそうにゴクゴクゴクゴク。

茶飲んでる暇があったら、早く着替えてよ!!!

結局遅れた理由についての説明は一切せず。

何事もなかったかのように式は始まり、ガッツリお経をはしょられて、定時に終了。

そんでもって坊さん退席前に参列者に一言。

がめつい住職
住職
「亡くなられた太郎さん(仮名)には5年前まで檀家総代〔だんかそうだい〕として、大変よくやっていただきました」

※檀家総代・・・檀家の代表。東京都心部ではお寺との関係が希薄になってきている為、あまり聞かれなくなった。

しかしまだまだお寺との関わりの深い首都圏郊外では、檀家全てをまとめ上げ、お寺と対等に渡り合える力を持つ、檀家総代の存在意義は高い。

そんなにお世話になったのなら、葬儀に遅刻するなよ・・・

ってな満場一致の心のツッコミなどお構いなしで、さらに話を続ける坊さん。

がめつい住職
住職
「今日は時間が短すぎで、お唱えしたかったお経を全て、唱えることが出来ませんでした」

何かあれもこれも唱えてやりたかったけど、時間が短すぎる!

みたいに聞こえるけど、一番の理由は、

あなたが遅れてきたことですからね!

ってなこれまた満場一致の心のツッコミを ものともせず、更に一言。

がめつい住職
住職
「ですので、明日の告別式は10分前開式とします。皆様遅れないように!葬儀屋さんよろしくね」
喪主男性
喪主
「ご住職もね!」

たまらず突っ込む喪主様。

よくぞ言ってくれました!

参列者全員心の中で拍手喝采。

住職と中学校の同級生だった喪主様にしか言えませんからね~

でも案の定、超不機嫌で帰られる住職。

子供か!?

翌朝、僕らはいつも通り告別式の1時間半くらい前からスタンバイ。

遺族や弔問客〔ちょうもんきゃく〕を出迎える準備をし、 皆様をお出迎え。

全ての予定を10分前倒しにして、ご住職が来るのを待つ。

通常告別式の場合もお坊さんの入り時間は、 開始式30分から60分前。

開式60分前、住職来ず。

想定内。

開式30分前、住職来ず。

まぁ、想定内。

開式20分前、住職の姿見えず。

まぁまぁ、想定内。

開式15分前、住職の姿未だ見えず。

いつもだったら焦るけど、昨日のことがあるから、 まだ想定内。

開式10分前、相変わらず住職の姿は無し。

流石に焦る僕。

開式5分前、結局住職の影も形も無し。

着替えや打ち合わせの時間を考えると、この時点で、開式時間が遅れる事はほぼ確定・・・

人間諦めが肝心と悟るオイラ。

開式時間。

住職マジでいねぇ!!!

結局それから15分ほどして、住職到着。

結局10分前倒しする前の、本来の開式時間にも間に合ってないじゃん・・・

ちなみに告別式は火葬の窯の時間が決まっている為、 延ばすことはできません。

またまたお経の一部カット決定!

車から降りてきた住職が一言。

がめつい住職
住職
「いや~申し訳ない。〇〇道がすんごい渋滞していて・・・」

それは分かるけどあの道は渋滞で有名な道なんだから、言い訳にならんよ!

着替えはせずに、このまま式を始めるというので、あわてて関係者を集めて外で5分ほど、打ち合わせ。

するとそこに、霊柩車の運転手到着。

告別式終了後に、斎場から火葬場にご遺体を搬送する運転手さん。

男性
運転手
「本日は宜しくお願いします。まだ斎場入りするのは早すぎると思ったんですが、〇〇道が全然混んでなかったんで、早く着きすぎちゃいまたよ~。いつもは激混みなんですけどね」

〇〇道?

それって住職が大渋滞だったって、言い張ってたまさにあの道じゃん・・・

変な空気が流れる斎場前・・・

そんな中、住職がおもむろに一言。

がめつい住職
住職
「いやー、やはり嘘はつくものではありませんね。仏様はちゃ~んと見ておられる。だから結局ウソは、周りまわって自らの身を滅ぼす。そのことを身をもってあなた達に教えることができました! ウソはいけません!」

いや、ウソついてたの、

あんただし・・・

しかし、自ら招いたとはいえ、自分に降りかかる災難さえ、 説法の題材にしてしままうとは・・・

この坊さん、転んでもタダじゃ起きんな・・・

て思わず感心してしまったとんでもない住職の話。

ちなみに、参列していた檀家総代が

会葬のおじいちゃん
檀家総代
「遅れて来た分、お布施もきっちりカットしてもらいなよ!」

って本気で喪主さんに言っていたことについては、

諸手〔もろて〕を挙げて賛成!!!

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