古来日本の死生観

日本人は古来から、死者を畏れ、その存在を忌み嫌うものとして捉えてきました。

死者の禍が生者に降りかからぬよう、今でも葬儀や埋葬の随所に、その涙ぐましい努力の跡を見ることができます。

居住区の近くにあった墓地は、いつの間にか離れた場所に墓所として集められ、悪霊から都を守る陰陽師が、国の重職として器重(重く用いる)されました。

また、葬儀や法要の後は塩で身を清め、死者が妖怪にならないようにと遺体の上に刀を置き、あるいは死者が戻ってこないようにと、故人が使っていた茶碗を割ったり、出棺時に棺をぐるぐる回して方向感覚を狂わせたり。。。

この様にあの手この手で死者が生者に対して悪さをしないようにと、知恵を絞ってきました。

その自己防衛対策のひとつが友引人形です。

友引人形って何?

日本人は死者が黄泉の国(あの世)への道中、その寂しさから生者を道連れにしようとすると考えました。

これが『友引』であり、最も危険な日が、6日に1日程度やってくる【友引の日】なのです。(太陰暦のため不定期)。

ですから生者は何とか道連れにされるのを防ごうと、友引の日には告別式を避けたり、身代わりの人形を棺に入れたりと、昔からその対策に腐心してきました。

つまり友引人形とは、生きた人間の身代わりとして、あの世に連れて行かれる人形のことなんですね。

古来では時代とともに主人の亡き後、遺骸と共に生き埋めにされた従者の代わりに、人や馬の形の埴輪が埋められるようになっていきましたが、それと同様、「生きている人間はキツいんで、この人形で勘弁してください(;´༎ຶД༎ຶ`)」ということですね。

埴輪
(死者が寂しくないように、そしてまた生前の同じ生活が送れるようにと、従者や生活用品の形をした模した埴輪が墓所に埋められた)

しかし一概に友引人形と言っても、実は様々なシチュエーションで入れられることがあるようです。

主に友引人形が入れられる場合は下記の3つですが、そんな友引人形の実態や、棺への納め方を見ていきましょう。

ちなみに余談ですが東京の葬儀屋の間では親しみ?を込めて『ともちゃん人形』などと呼ばれています。

本当に余談でしたね。。。

友引人形を入れる具体的なケース

それでは実際にどの様なケースで、友引人形が棺に納めらるのでしょうか?

主に以下の3つのケースが考えられます。

一、友引の日にお通夜・告別式

先述のとおり友引を含む六曜は太陰暦(月の満ち欠けを基にした暦)によって決められているので、一定ではありませんが、目安として友引は6日程度で一回回って来ます。

単純計算で1ヶ月のうち5日程度は存在する計算になりますので、友引の日にお通夜や告別式を執り行う場合も当然出てきます。

全国的に見ても友引の日は火葬場が休みのところが多く、告別式は出来ない所が大半ですが、お通夜は普通に執り行われます。

また、地域によっては友引の日も火葬場が稼働しており、告別式を執り行う場所も少数ですが存在します。

その様な日程で葬儀を行う場合、道連れを防ぐために、友引人形が入れられることがあります。

関西地方で多い風習と言われていますが、もちろん東京でも見られます。

友引と火葬場の詳しい関係についはこちらの記事を参照ください↓

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【徹底解説】友引(六曜)と葬儀って関係ないの?友引に火葬場が休みの理由

二、死亡日が友引

友引の日に人が亡くなった場合、故人が生者を引くと考える地域があります。

友引の日に亡くなった人間は、寂しくて生者を引くという考え方です。

また、この日に亡くなった人間は縁のあった別の故人に引かれたと考え、負の連鎖を断ち切る目的で人形を入れる地域もあり、理由はいくつか存在するようです。

友引
(敬老の日が友引って、いろんな意味でヤバイ!?)

三、喪中の不幸

その家から死者が出ると、遺族は一定期間喪に服します。

四十九日までを忌中(きちゅう)、一年間を喪中(もちゅう)と言います。

忌中はともかく、喪中は現在年賀状くらいにしかその風習を見ることはできませんが、この喪中に一族から死者が出ると、2人目の死者の棺には、負の連鎖を止める為に、友引人形が入れられます。

もうこれ以上は勘弁しておくれ(;´༎ຶД༎ຶ`)!

という訳です。

一族といっても、どこまでの血縁関係者までなら入れるのか?という線引きは実に難しい所ですが、そこそこ近い親類縁者と大雑把にくくられている場合がほとんどです。

あとは遺族の気持ち次第といったところでしょうか。

友引人形の形状や種類

友引人形を入れる理由は十分お分りいただけたという思いますので、次は人形の形状や納め方について見ていきましょう。

友引人形の形状や種類については、特にこれといった決まりはありません。

故人が愛用していた人形があれば、迷わずそれを入れてあげましょう。

故人の寂しさを和らげてくれると共に、遺族にとっても後々人形供養をする手間が省けて、便利です。

故人の愛用品や自宅に手頃な人形がなければ、ご自身で買い揃えたり、自作した物でも問題ありません。

自前で準備すつのが大変であれば葬儀屋に依頼すれば、市販の友引人形を用意してくれます。コケシのようなタイプか、洋人形の2種類くらいは最低でも取り扱っているはずです。

中にはわら人形や土人形、変わったところで仏像なんてパターンもあります。

もちろんどのタイプも効果は同じです。

(友引人形としてよく利用される『こけし』)
(友引人形としてよく利用される『こけし』)

友引人形の納め方

特別な儀式などは必要ありません。

(これ以上不幸が続きませんように)という思いを込めて、そのまま棺に納めましょう。

ただし、人形の外箱が残っているなら、箱に入れて棺に納めましょう。

なければ適当な箱を用意して納めてください。

これは箱を人形の棺に見立てる風習があるからです。

友引人形の効果・効力

さて、友引人形を入れる意味や、納め方は分かったけど。。。

何より気になるのがその効果のほどは!?と言ったところでしょう。。。

ぶっちゃけ効果を感じたことはありません。

無いんかい!?

(`ε´)ぶーぶー

無いよ!!!ある訳ないだろー!!!

(#`皿´) ムキーーーー!

取り乱してしまいまして、申し訳ございませんm(_ _)m

まぁ、あくまでも迷信ですからね。。。

友引人形を納めて火葬した故人の弟さんが1ヶ月後に亡くなり、親戚からメチャクチャ文句を言われたこともあります。

ですが、、、

皆さん・・・

大人でしょ!?

当たるも八卦当たらぬも八卦
当たるも八卦当たらぬも八卦

迷信・願掛け・占い・天気予報は、当たれば『当然』、外せば『大バッシング』が世の常ですが、ぶっちゃけ迷信や願掛けの類は、良くも悪くも【当たるも八卦、当たらぬも八卦】が基本。

信じるか信じないかは、あなた次第です!

さいごに

信じるも信じないも人それぞれですから、最後はご遺家の意思に従いますが、しかしながら、やらずに何かあって後悔するなら、やって後悔した方が良くありませんか?

しかも不思議なことにこうした願掛けや病気・怪我等の保険の類は、しっかり対策をとっておくと何もないくせに、うっかり対策を怠った時に限って何かが起こるもの。。。

世の中上手くはいかないものですが、とりあえず入れておくに越したことはない!

私はそう思っています。

ストップ・ザ・道連れ!

もしも、友引絡みで気になる点がひとつでもあれば、遠慮なく担当の葬儀屋に相談して見てください。

まだまだ、死にたくなーい!

以上、葬儀の不思議な習慣、友引人形についてでした。

仏の教えと書いて【仏教】。

 

皆様は仏教と聞いて、どんな教えを思い浮かべますか?

 

(さらに…)

【とんでもない坊さんの話】

ある一定の年齢以上の方には知らない人はいないでしょうが、お寺の重用な法会(仏事行事)のひとつに施餓鬼(せがき)というのがあります。

施餓鬼会(せがきえ)の略称ですが、年に一度、お寺をあげて大々的に行う檀家全体の先祖供養といったところでしょうか。

全国的には8月のお盆の時期におこなわれるのが一般的だと思いますが、なぜか都内は5月に行うお寺が多く存在します。

お寺の一大行事ですから、かなりのお金が集まります。特に塔婆料は重要な収入源になります。

お寺と疎遠になってしまって、全く出さない檀家もありますが、大体は各檀家それぞれ1本〜数本出すのが通例ですよね。

塔婆料は地域やお寺によっても違いがありますが、大体3-5千円と言ったところではないでしょうか?

ある程度の規模のお寺で、塔婆が1,000本出れば、それだけで3-5百万円の収入ですから、凄い金額ですね。

5月初旬。とあるお寺での話。

結構な格式の寺院で、昔は僧坊(修行僧の寮みたいなもの)を幾つか抱えていた大規模寺院。当然檀家の数も千を優に超える。

前述の通り、昔は多くの僧侶が勤務していたが、今は訳あって、住職の他に寺勤めの僧侶が2人だけ。

この3人で4桁からの檀家の塔婆を手書きするのだから、相当なものだ。

もちろん準備には数ヶ月をかけるのだが、ただでさえ檀家の葬儀に法事に、宗派の集会にと忙しい。

必然的に終盤に残された塔婆書きの作業は【夏休みの宿題】状態になる。

一日中部屋にこもって何日も何日も、永遠と塔婆を書き続けるのだから、想像しただけでも肩が凝る。

そんな時期に檀家の葬儀でお寺に伺った。

用事を済ませた後、邪魔しちゃ悪いと早々に退散するつもりだったが、一息入れるついでに話し相手になってほしいと言われ、お茶を一杯付き合うことに。

 
「しかし、これをずーっとやってると、精神的におかしくなりそうですよね。」

「YES!高須クリニック!」

3人即答。

僧侶1
僧侶A
「最初はきつくて、それを乗り越えると、意外と無の境地になって、そんでまたきつくなって、無の境地になって。。。でもそんなのを何回か繰り返してると、発狂しそうになる時がありますね。」

ギラッ!

いや、マジで目が怖ぇし。。。

僧侶1
僧侶A
「急に塔婆に思いっきり関係ないことをグワーって書いてやりたくなるんですよ。」
 
「例えばどんな?」
僧侶1
僧侶A
「ラーメン次郎!」

脂多め!

ラーメン二郎

たぶん糖分が足りてないんでしょうね〜。たぶんね〜。だから背脂こってりのラーメンが食べたくなるんでしょうね〜。

でも良いんじゃない?ラーメン屋の名前がずらっと並んでたら、陰気臭い墓地がなんか楽しそうだしね!

【二郎】の隣は、【一蘭】かぁ〜 

何つってね〜♪

ちなみに私はみなさんの体のことを考えて、【野菜増し増し】なんて、加筆させていただきますよ〜

ハイ!次!

僧侶2
僧侶B
「私も有りますよ」
 
「どんな?」
僧侶2
僧侶B
「瓶詰め大根」
 
「はっ?」
僧侶2
僧侶B
「瓶に詰めた大根、瓶詰め大根ですよ。」

いや、そんな当たり前みたいに言われても知らねーし。

はいはい、あれね~とか絶対ならないから。

初耳だよ。

可哀想に自らの抑圧された環境が、瓶に詰められた大根と重なっちゃったんだろ〜ね〜。

まぁでも、あるんだろーねー。何かこう、意味の分からんことが頭に浮かんできて、それを思いっきり塔婆に書き殴りたくなる瞬間がねぇ。

しかも意外と口に出すと案外響きか良いね、響きか。サラブレッドなんかにもいそうだしね。

1枠 ディープインパクト

2枠 ビンヅメダイコン

3枠 オルフェーヴル

4枠 ニンジングラッセ

競馬

なんてね〜。

良いんじゃない、良いんじゃない。ぐっと親近感がわいてくるね〜。競馬人口も広がりそうだしね〜

ハイ!次!

住職1
住職
「私もあるよ」
 
「何でしょう?」
住職2
住職
「キャバクラ!」

却下!!!

俺が檀家なら塔婆に【キャバクラ】って書いてあった時点で、地面じゃなくて、あんたの額に突き刺してやりますよ!

深々とね!

部屋にてデカデカと【煩悩退散】書いて貼っとけ!って思ったとんでもない坊さんの話。

※ちなみにお寺の名誉の為に言っておきますが、普段はとても真面目なご住職で、そういった店には行きません。(そういった場所が大好きな僧侶がいることも確かですが。。。)

真面目な住職が壊れちゃったよ。

改めて、塔婆書きって大変なんだな〜

【とんでもない遺族の話】

葬儀で使う大切な遺影の写真。終活ブームで本人が事前に用意しているケースもあるけど、まだまだ大抵の場合、事前に生前の写真から遺族に写真を選んでもらい、それを引き延ばして使用します。

とある70代後半の女性の葬儀。

遺影の写真は喪主様である故人のご主人が決めた。

こいつが後に大事件を引き起こすとは、その時の私は知る由もない。。。

遺影の写真は10年ほど前の、お遍路さんの時のもの。

若干不鮮明なのが気になったが、目ぼしいものはそれしかないとのことでは仕方がない。

写真屋さんに出来るだけクリアにしてもらうように依頼して出来上がった写真を、祭壇中央にお飾りする。

う〜ん。やはりちょっと不鮮明だ。喪主様は仕方ないとおっしゃってくれたが、会葬者に何か言われなければ良いが。。。

果たしてその予感は的中した。

先に来た喪主様方の親族の何人かは「それでも良い写真だ」と概ね褒めてくれたので、すっかり油断していた。

最要注意人物が斎場に現れるまでは。。。

はるばる東北から出てきたという故人のお姉さんが斎場入り。

斎場入りするなり、

喪主
付添人
「ちょっとあなた葬儀屋さん?あの写真だけど。。。」

付き添ってきたお姉さんの娘さんと思われる人が、私を呼び止める。

喪主
付添人
「あの写真、ちょっと不鮮明だけど。。。」
 
「そうなんですよね。でも、良い写真ですよね。」
怒りの老婆
お姉さん
「ありゃ、ワタシよ!」

へ~そうなんですね~。よく似ていらっしゃる~

あ〜、なるほど、どおりでそっくりわけだ!血は争えませんね〜♪

 
「・・・・・・」
 
「はっ?」
怒りの老婆
お姉さん
「いや、だから、あの写真は妹じゃなくてワタシよ!」
 
「・・・・・・」

ガッデーム!!!

喪主!出て来いやー!

もちろん間違えたのは喪主様。

近しい親戚で行ったお遍路さんの時に撮られた集合写真には、故人様の隣にお姉さん一家も写っていた。

確かに似てはいる。間違えたのだ。

葬儀までの時間もなく、バタバタしていたのも確かだ。

怒りの老婆
お姉さん
「昔から似てるってよく言われるけど、自分の嫁と姉を間違えるとは、どう言うことなんよ!?」

ブチ切れるお姉様。

まぁ、葬儀に来て、自分の写真が祭壇に飾られてたら、そうなるわな。

ははっ。。。(乾いた笑い)

おいら、もう帰って良いかな。。。?

ラン、ランララランランラン、ラン、ランララランランラン、ララララララララ♪

ナウシカと共に金色の海原をしばし駆け巡る。

しかしあっという間に、現実世界に引き戻される。

持っていた杖でボコボコにされる喪主様には悪いが、救済している余裕はない!ソッコーで写真屋さんに電話をかける。

 
「すいません!写真屋さん!遺影の写真が違うんです!取り込んだデータまだ残ってると思うんで、すぐに作り直して持ってきてもらいたいんです!」
写真屋
写真屋
「いや、急にそんなことを言われても、もう閉店時間も過ぎてるし。第一そんなすぐには。。。」

開式1時間を切っている。当然の答えだ。

しかし、ここで引き下がるわけには行かない。なんせ斎場内は文字通り修羅場だ。

怒りの老婆
お姉さん
「あんた!そんなに私を殺したいんか!?」
喪主男性
喪主
「ひー!」

お姉さんの怒号と喪主様の断末魔の叫びが飛び交う!

 
「写真屋さんの返答次第では、今日のご喪家の葬儀がもう一件続くことになります!」
写真屋
写真屋
「やりましょう!」

力強い!

僅かばかりの希望の光が見えてきた次の瞬間、

おばちゃん6
奥さん
「あなた電話終わったの?もう出かけなきゃいけない時間なんじゃないの?」

写真屋さんの奥さんの声が電話越しに聞こえてくる。

予定有り。ダメか!?

万事休す・・・そう思った矢先・・・

写真屋
写真屋
「うるせぇ!それどころじゃないんだよ!すぐに機械の電源入れろ!」

電話越しにがなりたてる写真屋のご主人の声。

力強い!無駄に力強い!

神様!仏様!写真屋様!

さすがに遺影無しで葬儀を始める訳にはいかない。

「ご主人が遺影の写真間違えたらしいよ。」

親戚のひそひそ話が聞こえる中、今はただただ永遠とも思える時間をじっと待つしかない。

喪主様にとっては針のむしろだろうが、非難されるのは仕方がない。

だって本当のことだもん!

写真屋
写真屋
「やれるだけのことは、やってみましょう!」

それでも状況を察した写真屋さんが、最善を尽くしてくれたおかげで、助かった。

さすがに時間通りにとはいかなかったが、それでもどうにかこうにか10分遅れで、無事開式までこぎ着けた。

詳しくは聞かなかったが、遺産相続でもめた過去があり、義理の姉との仲はあまり上手くいってはいなかったらしい。

あの剣幕からすると、写真が手配できなかったら、喪主様は重りと共に東京湾に沈められていただろう。

フッ、命拾いしたな、喪主様。

無事式が終わって、遺族は通夜振る舞いの席に着いた。

ひとり斎場に残り、遺影を見つめる。

喪主男性
喪主
「大変ご迷惑をお掛け致しました。」

振り返ると申し訳なさそうに頭をかく喪主様の姿が。

喪主男性
喪主
「でも、間違えても不思議じゃないくらい似てるでしょ?(お遍路さん姿なので)服も一緒だし。」

いや、全然違うよ!

確かに似てはいるが、明らかに別人だよ!

今すぐ眼科に行って来い!

そう心の中で突っ込まずにはいられなかったとんでもない遺族の話。

皆様からご質問をいただきました。

火葬の際に故人の旧愛車のエンブレムを副葬品として棺に納めたい。

車のエンブレムを生前本人が廃車時に外されてて、自分で持っておられて、 「自分が帰天するときに入れて欲しい」と言われていたけど それを副葬品として入れることは可能ですか? ちなみにメルセデスベンツです。

(さらに…)

【とんでもない坊さんの話】

とある顔馴染みのご喪家の葬儀でのこと。式の前日、喪家から呼び出しを受けてご自宅に伺うと、渋い顔をした喪主様がお出迎え

喪主男性
喪主
「いや〜参りましたよ。先ほどお寺にお布施を持って行ったんですが、そのまま返されてしまいまして・・・」
 
「おっ!もしかしてお布施は要らないってことじゃないですか?ラッキーですね!笑」
喪主男性
喪主
「・・・・・・」
 
「し、失礼しました・・・それで、どういうことですか?」
喪主男性
喪主
「いや、それがご住職に『これは一旦お返ししますから、よく考えてから出直して来なさい』ってだけ言われたんですが・・・要するにお布施の額が少ないってことですよね?」
 
「う〜ん・・・恐らくそうですね。ちなみにいくら包んでいかれたですか?」
喪主男性
喪主
「80万円です」
 
「少ないとは思いませんけどね・・・うまい棒なら8万本買えますよ!」
喪主男性
喪主
「・・・・・・」

う〜ん、ダメだ。いつもらな乗ってくれるユニークな方なんだが、今日はお布施のことで頭がいっぱいらしい。

喪主男性
喪主
「私もそう思ったんですが・・・色即是空さん(私のこと)、大変申し訳ないんですが、直接お寺さんに聞いてもらえないですかね?普段からお金のことを直接口にしたがらない住職ですから、我々が聞いても教えてくれないと思うんですよ・・・」
 
綿
「分かりました。ぶっちゃけた所を聞いてみますよ」

葬儀で使う位牌を事前に届ける用もあったので、その足でお寺に伺う。

奥の座敷で住職と対決。

 
綿
「ご住職、山田さん(仮名)のお布施の金額なんですが、ご喪家がいか程包めば良いのか悩んでおりまして・・・」
住職
住職
「お布施というのは気持ちです。いくらなどというモノはありませんよ」

あるじゃねぇか!

と言いたいところだが、ぐっと我慢。

 
綿
「しかし、一旦お返しになられたとお聞きいたしました」
住職
住職
「それは今までの付き合いや、家の格というのもありますから、それに見合った額をご用意いただくということです。今回私はそうしたものに見合っていないのではないかと思ったので、お返ししました」

今回のご喪家は今までに多額の寄付をしてきたいわゆる【お金持ち】の家。

要するに取れるところからは、とことん取るってことじゃねーか!

どデカイ木魚の棒でぶっ叩いてやりたい所だが、ぐっと我慢。

住職
住職
「今回のご喪家の場合、ご住職の考える格とはどれほどのモノですか?」
 
綿
「ですからそれは私の口からは言えませんよ。お布施はあくまでもお気持ちですから」

だったら返すんじゃねー!

熱々の線香をケツにぶっ刺してやりたい所だが、もち、ぐっと我慢。

なかなかしぶとい住職だが、こちとらあまたの坊主とやりあってきた身よ!

 
綿
「そうですか。分かりました。山田さんは前回の額が妥当だと思っているようでして。それでは今一度考えた【気持ち】の最終結果が、例えば前回に気持ち色を付けた額でも、お受け取りいただけると解釈してよろしいでしょうか?」

一瞬、住職の顔がピクつく。

住職
住職
「ちょっと失礼。着替えてもよろしいかな」

突然着物を着替え始める住職。

 
綿
「かしこまりました。では私はこれで失礼します」
住職
住職
「あっ、ちょっと、ちょっと。後ろのフスマを開けたところに帯があるんで、取ってもらって良いかね?」
 
綿
「はい?」
住職
住職
「帯だよ、帯」
 
綿
「こちらですか?」
住職
住職
「有難う。やっぱり帯っていうのは良いよね」
 
綿
「はぁ・・・」
住職
住職
「いやだから、帯っていうのは良いよねって話だよ。締めると気持ちがピリッとするというか、ようし!やってやろうかっていう気になるよね。何事もね!
 
綿
「はぁ・・・」

!?

!?

!?

帯 → 帯封 → 札束 → 100万円 → 帯はやる気の源 → ヨロピクね♥

一休さ~ん!!!

今まで生きてきた人生の中で、最も苦々しいヒラメキの瞬間だったことは言うまでもない。

私の口からは言えないが、察したまえ!君!

って、差し詰めあんたは、悪徳政治家か!?

ちなみに後日ご喪家がお持ちした100万円は、しっかり受け取ってもらえたそうです。

とんちカマしてんじゃねーぞ!クソ坊主!って思ったとんでもない坊さんの話。

【子供を亡くした母親の憂い】

それはやけにサバサバとした喪主だった。

息子が亡くなったというのに、ご遺体を引取りに病院に伺った時から、涙一滴どころか悲しい素振りすら微塵も感じさせない。

案の定、葬儀などは一切挙げず、最短での火葬を希望した。

位牌も遺影も、お棺に入れる花さえ要らないと言う。

葬儀を挙げなくとも、僧侶を呼んでお釜の前でほんの少しだけ読経してもらう遺族も少なくないが、もちろんそんなものは必要ないと言い張った。

火葬の後は、その足で合同墓に葬るという。

夫とは離婚していたが多少の親戚や友人はいた。にも関わらず彼女は火葬場にひとりで現れた。

「わざわざ他の人に時間を使わせることもない」

それが彼女の言い分だった。

霊柩車から棺を下ろし、火葬炉を歩む間も、決して悲しい素振りなど見せなかった。

30年も自分の息子として生きてきたというのに。

なんて母親だ・・・

私がそう想ったのもの無理からぬことかも知れない。

炉に収める前に棺の蓋を開け、最後のお別れの時間を作ったが、その対面も実にあっさりとしたものだった。

私が棺の蓋を開け、後ろの下がって一息ついたかつかないうちに、

「終わりました」

そんな声が飛んできた。

私は悲しい気持ちのまま、棺の前に出る。

しかし彼女の気持ちがどうであれ、私は手を抜く気など毛頭ない。

これでも少しの期間、僧侶に弟子入りした身だ。

棺の蓋を閉めようとする火葬場のスタッフを手で制して、親子にまつわる短い法話をひとつ。

それから最後の締めの言葉を述べる。

「お母様のお心の内にも、様々な思い出、そしてなかなか口にできなかった感謝のお気持ちが、本当はお有りのことと存じます。最後はその思いの丈を両手にお込め頂き、合掌を頂きたいと思います。故人様の永久なる旅路、安らかでありますようにとお念じいただきまして、合掌でございます」

共に合掌。

暫く時が流れたその時だった。

「今までありがとう。私の子供に生まれてくれて、本当にありがとう・・・」

今にも消え入りそうな母親のが聞こえた。

私は驚いて目を開けた。

私が見ていることには気が付きもせず、彼女は泣いていた。

その涙は紛れもなく、息子を想う母親の「泪」だった。

悲しみにじっと耐えることが美徳とされる日本。

彼女も古い人間だ。

誰にも見せまいと、ずっと悲しみを押し殺してきたのだろう。

はっ!と気付いたように彼女は突然目を開けた。

そして、急いで涙をぬぐうと、

「お釜に収めてください。」

と、素っ気なく言い放った。

もう、初めて会った頃の彼女に戻っていた。

その後は、至って淡々と振る舞い、二度と悲しい姿を見せることなく、遺骨を抱いてひとり彼女は帰っていった。

しかし、彼女の流した一筋の涙は、私の心を強く打った。

キラキラと光るその涙を、私は一生忘れることはないだろう。

現在においても尚、悲しみを押し殺すことが日本人の美徳という人も多いだろう。

だが私はそうは思わない。

人は悲しみを吐き出すことで、また前を向いて歩いて行ける。

だからこそほんの少しでも悲しみを吐き出させてやることが、葬儀屋の大切な役目だと信じて疑わない。

「(今日の仕事は)まあまあかな・・・」

ふと、自分に向かってそんな言葉をかけてみる。

別にそんなに大した仕事はしてないけど・・・

(ありがとう・・・)

故人の言葉とともに、一陣の風が通り過ぎたような気がした。。。

故人様に心よりの哀悼の意を示してm(_ _)m

【大切な人と死別した貴方へ】悲しみは分かち合うことで2分の1になる

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【人生がときめく片付けの魔法】など、数年前から掃除や片付けに関する書籍がバカ売れしてますけど・・・

掃除関連の本が多いご自宅って、意外と汚いですよね・・

ノウハウと行動は必ずしも一致せず!?

昔から片付けが出来ないことで有名な知り合いの女性。

主婦になった現在も自らの家をゴミ屋敷「豊かな日本の象徴」と言ってはばからないクソ野郎

同居するお父様が亡くなったのを機に自宅を整理したいとのことで、発掘調査に行って参りました。

(・_・ ) ( ・_・)キョロキョロ

ゴミの中から次々に姿を現す掃除本・・・

(人生がときめく片づけの魔法)

(必要なものがスグにとり出せる整理術)

(片づけられない女のためのこんどこそ片づける技術)

いずれ劣らぬベストセラーばかりなのに・・・

全然活用されてない!

本の気持ちを思うと泣けてくる・・・

くぅ~(T_T)(T_T)(T_T)

ってかそもそもこの本、売っちゃて良いの?

むしろこれからが必要なんじゃない・・・?

私の熱い思いを本人に伝えたら、

「いいんだよ。だって使わない物がいっぱいあるから部屋が汚くなるんだから!」

その通り! その通りだよ!

あんたはこれっぽっちも間違っちゃいない!

いや、ある意味正しい!

だがここは敢えて声を大にして言わせていただきたい!

バカやろー!!!

“(*`ε´*)ノ彡☆バンバン!!

それよりも何よりもまず片づけなきゃならないのは、

ジェンガなみに積み上げられた食器であり、

家でも建てるんかいって!?くらいの紙パックであり、

ロケットにして飛ばしたら、イージス艦でも撃墜できないくらいの大量のペットボトルですから~!!!

残念!!! 日本の国防ズッッタズタッ斬り!(by 波田陽区

古っ!

取りあえず難を乗りきった、キレイな本のみ引き取らせていただきましたm(__)m

もうすっかり夏が近いなぁ~・・・(T_T)/~~~

葬儀の新しい形

宮型霊柩車が消えた「本当の本当の理由」

以前、「お葬式から宮型霊柩車と花輪が消えた本当の理由」でも書きましたが、いよいよ宮型霊柩車が絶滅の危機に貧しているようです。

 

 

(さらに…)

【とんでもない会葬者の話】

少しずつ暖かくなってきました。そろそろコートを手放す時期に入り、葬儀屋は少しホッとしています。

何せこのコートと言うのは、葬儀屋にとって、少々厄介な存在なんです。

ようやく暖かくなってきたと思ったら、夜は一気に冷え込んだ。

通夜に参列する一般の会葬者は、皆コートをしっかりと着込んでやってきた。

このコートが実に厄介だ。

クロークでもあれば良いのだが、残念ながらそんな気の利いたものを備えている斎場は、ごく僅かだ。

各自手に持ったまま行動して欲しいところだが、何せ会葬の邪魔になる。

だからコートを掛けておく類の物が何も準備されていなければ、それはそれで不満が出る。

そんなこんなで大抵はハンガーラックを2.3個準備して、斎場の端に設置する。

ラックは置くが、管理は各自にお願いする。下手に触って、紛失・取り違い等の問題が起きては大変だ。

準備は整った。

定刻通りに式が始まる。

一般の会葬者はロビーのハンガーにコートを掛けた後、受付を済ませて、焼香の列へと並ぶ。

焼香が終われば、返礼品を受け取り、コートを取って通夜振る舞いの部屋へと進む流れだ。

一般会葬者の焼香が終わり、最後の女性がコートを取って通夜振る舞いの部屋へと消えて行く・・・はずだった。。。

ところが、酷くうろたえた表情の女性が、私の元に駆け寄ってくる。

会葬者
会葬者
「私のコートがないんです。」

見るとコートが一着ハンガーに残っている。

 
(また誰かが間違えて持って行ったか。。。)

色も形も似通っている。コートの取り間違え騒ぎは、葬儀屋あるあるだ。

 
「あちらに掛かっているコートは、ご自身の物ではないと言うことでしょうか?」

私が尋ねると、女性は怪訝な表情を浮かべながら答える。

会葬者
会葬者
「そうなんです。でも・・・あのコート、男性用なんです。」

えっ!?どういうこと?

女性のコートなら分かるが、男性用って・・・

どういうこと?(二度目)

びっくり

一般会葬者は誰も残っていない。

男性用のコートは単なる忘れ物で、この女性のコートの方は盗まれたのか?

あるいはどこかの男性が女性用のコートを間違って取って行ってしまったという事か?

イヤイヤ、いくら何でも女性用と男性用のコートを間違えるって・・・

無いな。

しかし、ここであれこれ考えていても始まらない。

取り敢えず大急ぎで、残された男性用のコートを引っさげ、精進落とし部屋へと向かう。そのまま帰られてしまってはそれこそ一大事だ。

コートを手に、賑やかな部屋の中を、女性と共に駆け回る。

 
「どなたかこちらのコートと間違えて、別の方のコートをお持ちになられた方はいらっしゃいませんか?こちらの女性がご自分のコートが見当たらないと仰られておりして・・・」

もう大分出来上がった男性が、ビール瓶片手にコートを覗き込む。

酔っ払いオヤジ
オヤジ
「兄ちゃん、それ男性物のコートだろ?コートを探してるのが女性って、おかしいだろ!?」
 
「そうなんですが、おそらく男性の方が、間違えて女性物のコートを持っていかれたかと。。。」
酔っ払いオヤジ
オヤジ
「そんなアホいるか!」
 
「それはそうなんですが、皆さま念の為、お手持ちのコートをご確認いただけませんか?」
酔っ払いオヤジ
オヤジ
「全く面倒くせーな!故人の思い出語りながら、楽しく飲んでんだから、水差すなよ!」
 
「申し訳ありません。」
酔っ払いオヤジ
オヤジ
「大体いくら色が似てるからって、男物と女物間違えるアホなんざぁ、いる訳ねぇんだよ!」
会葬の女性
会葬の女性
「あなた、そんなにアホアホ言わないの」

隣にいた奥様と思しき女性がたしなめる。

酔っ払いオヤジ
オヤジ
アホアホだろ!」

女性に悪態をつきながら、男性が隣にあった自分のコートを手に取る。

酔っ払いオヤジ
オヤジ
「良いか?これ見ろ!男と女のコートは全然違うんだよ。間違えるアホなんて、いる・・・・・・・・・・・・・・・あれ?・・・・・・・・・・・・・・・これ、俺のじゃない。。。」
会葬者
会葬者
「それ、私のです!」

コートを探していた女性がとっさに叫ぶ。

怒り心頭

お前かー!

頭出せや!ジジィ!

テッカテカの頭に、寿司のワサビを擦り込んでやる!

ブチギレ
酔っ払いオヤジ
オヤジ
「おかしいな。。。」

しにりに首をかしげる、酔っ払いオヤジ改め【ジジィ】

酔っ払いオヤジ
オヤジ
「ま、まぁ人でごった返してたから、間違えるのも無理ないな。」

挙げ句の果て、開き直りやがった!

テメェコラー!

アタマ出せや!ジジィ!

テッカテカの頭をレモン醤油まみれにしてやる!

ブチ切れ

すると先ほどの奥様らしき女性がチクリ。

会葬の女性
会葬の女性
「ごった返してたからって、女性物と男性物のコートを間違えるアホなんていないわよ。あなた以外はね!」

そして、私にゆっくりと微笑む。

会葬の女性
会葬の女性
「申し訳御座いませんでした。主人には私からしっかり言っておきますので。」

場内爆笑!

当の本人を見ると、すっかり大人しくなって、バツが悪そうにビールをチビチビやっている。

 
「もしかしたら故人様が【私のことを忘れないでね】そんな思いから、いたずらしたのかも知れませんね。故人様の思惑通り、思い出深き通夜になりました。もう少しだけ皆様で故人様を偲びください。」

そう言って部屋を後にした。

悪いがジイさん、どうやらこの勝負、俺の勝ちだな!(意味不明)

いや〜それにしてもスッキリした!

本来ならテッカテカの頭に、熱々の線香ぶっ刺してやりたいところだが、ここはひとつ賢い奥様に免じて許してやるか笑

すっきり

まぁ、誰にでも間違えはあるものですが、明日は我が身。

自分に限って!なんて思い込みに浸ってふんぞり返っていると、思わぬしっぺ返しを受けるもの。

何はともあれ参列時のお手回り品にはくれぐれもご注意ください。

故人様に心よりの哀悼の意を表して

合掌

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