地域によって葬儀の内容は随分変わってくるものです。
同じ関東でも群馬や茨城での葬儀に参加すると、やっていることがチンプンカンプンなんてことはよく聞きます。
今回は群馬の葬儀に関する投稿です。
群馬県での告別式後の儀式で不思議なものがありました。
私が参列したその告別式は私の住んでいるところとは違い、告別式は火葬後に執り行うという習わしのようで式の時には骨壷に入ったお骨がありました。
それだけでも少し驚いていたんですが、告別式を斎場で済ませて自宅に戻ってからその謎の儀式が始まりました。
亡くなった人の子供の間で位牌分けになったのですが、用意されている白木の位牌をなぜだか喪服の襟首のところに逆さまに差し込んでいます。それを見て、何をやっているんだろう。位牌で遊ぶなんて不謹慎すぎると思っていると、隣の人もその隣の人も次々と差し込んでいきます。
え、何をやっているの。何が始まるの。と気にしていると次はそのままの格好で家の外に出て家を一周回っています。
もうこうなっては頭のなかにハテナしかなく、聞いてみると。 昔はそのままの格好で一度自宅に帰ってから、もう一度そのまま来るのが本当の儀式なんだそうです。
だけど、今は家が遠い人もいるので簡素化してそうなったんだそうです。 なんでそれをやるのかは分からないそうです。なんとも不思議な儀式でした。
感想・解説
何でしょうね・・・近隣の県なのに初めて聞くことばかりでびっくりです。
前火葬
投稿者さんは南関東の方でしょうか。
以前の葬儀といえば、前火葬が基本でした。
午前中に近しい人間がお別れをして火葬。お骨になって戻った後に、午後から告別式、精進落とし、埋葬・・・
これが一般的な葬儀の流れでした。
東京近郊では葬儀並びに告別式後に火葬するパターンしか見られなくなりましたが、以前は全国的に先述のパターンだったようです。
同じ関東でも北関東はまだ、火葬後に葬儀という流れが一般的です。
位牌分け
お恥ずかしながら、これ、知りませんでした・・・
位牌は1本!
これが常識だと思っていました。
北関東にある知り合いの葬儀屋に電話したら、「位牌分け」といって、子供の本数分位牌を作ってそれぞれ持ち帰るんだとか。
まぁ、位牌はあくまでも故人に通じる扉のようなものであり、位牌自体に故人の魂が入っているわけではないので、位牌は何本あっても問題ありませんが、初めて聞く出来事にびっくりでした!
位牌を襟首にさして家の周りを回る
これは知り合いの葬儀屋に聞いても理由がわかりませんでした。
ここからは私の推測ですが、恐らく故人の魂が家に戻って来ないようにするためだと思われるます。
家から出棺する際、棺をぐるぐる回して故人の方向感覚を狂わせてから出棺する、故人の使っていた茶碗を玄関先で叩き割る、玄関以外の場所から出棺する・・・
こうした風習はどれも、故人の魂が家に戻ってくることなく、迷わず浄土へ行くようにとの思いを込めた風習です。
おそらく位牌を逆さに襟元に差し込み、家の周りを駆け足で走り回ることで、方向感覚を鈍らせ、故人の霊が家に帰って来ないようにするためでしょう。
襟首に突っ込むのは、3つ理由からだと考えられます。
手に持って走って、転んで破壊しないため(着物に草履で舗装もままならないような昔の悪路を走れば、転ぶ確率はかなり高い)
ご飯を山かけにしたり、箸を立てたり、着物を左前にしたり・・・不幸が続かないようにと、普段とは逆の奇抜なことをやるのが葬儀です。
物理的に位牌を襟元に突っ込むならば、逆さにしないと難しい。
そうしたことを鑑みて、襟元に突っ込むスタイルが完成したのではないでしょうか。
最後に
ところ変われば葬儀もこんなに変わるものなんですね。
我々も滅多に他の地域の葬儀を担当することはありませんので、違った地域の葬儀には疎いのが現実です。
もっともっと多くの地域の葬儀を知っていきたいと思っています。
是非ぜひ情報をお待ちしています。