古来日本の死生観
日本人は古来から、死者を畏れ、その存在を忌み嫌うものとして捉えてきました。
死者の禍が生者に降りかからぬよう、今でも葬儀や埋葬の随所に、その涙ぐましい努力の跡を見ることができます。
居住区の近くにあった墓地は、いつの間にか離れた場所に墓所として集められ、悪霊から都を守る陰陽師が、国の重職として器重(重く用いる)されました。
また、葬儀や法要の後は塩で身を清め、死者が妖怪にならないようにと遺体の上に刀を置き、あるいは死者が戻ってこないようにと、故人が使っていた茶碗を割ったり、出棺時に棺をぐるぐる回して方向感覚を狂わせたり。。。
この様にあの手この手で死者が生者に対して悪さをしないようにと、知恵を絞ってきました。
その自己防衛対策のひとつが友引人形です。
友引人形って何?
日本人は死者が黄泉の国(あの世)への道中、その寂しさから生者を道連れにしようとすると考えました。
これが『友引』であり、最も危険な日が、6日に1日程度やってくる【友引の日】なのです。(太陰暦のため不定期)。
ですから生者は何とか道連れにされるのを防ごうと、友引の日には告別式を避けたり、身代わりの人形を棺に入れたりと、昔からその対策に腐心してきました。
つまり友引人形とは、生きた人間の身代わりとして、あの世に連れて行かれる人形のことなんですね。
古来では時代とともに主人の亡き後、遺骸と共に生き埋めにされた従者の代わりに、人や馬の形の埴輪が埋められるようになっていきましたが、それと同様、「生きている人間はキツいんで、この人形で勘弁してください(;´༎ຶД༎ຶ`)」ということですね。
しかし一概に友引人形と言っても、実は様々なシチュエーションで入れられることがあるようです。
主に友引人形が入れられる場合は下記の3つですが、そんな友引人形の実態や、棺への納め方を見ていきましょう。
ちなみに余談ですが東京の葬儀屋の間では親しみ?を込めて『ともちゃん人形』などと呼ばれています。
本当に余談でしたね。。。
友引人形を入れる具体的なケース
それでは実際にどの様なケースで、友引人形が棺に納めらるのでしょうか?
主に以下の3つのケースが考えられます。
一、友引の日にお通夜・告別式
先述のとおり友引を含む六曜は太陰暦(月の満ち欠けを基にした暦)によって決められているので、一定ではありませんが、目安として友引は6日程度で一回回って来ます。
単純計算で1ヶ月のうち5日程度は存在する計算になりますので、友引の日にお通夜や告別式を執り行う場合も当然出てきます。
全国的に見ても友引の日は火葬場が休みのところが多く、告別式は出来ない所が大半ですが、お通夜は普通に執り行われます。
また、地域によっては友引の日も火葬場が稼働しており、告別式を執り行う場所も少数ですが存在します。
その様な日程で葬儀を行う場合、道連れを防ぐために、友引人形が入れられることがあります。
関西地方で多い風習と言われていますが、もちろん東京でも見られます。
友引と火葬場の詳しい関係についはこちらの記事を参照ください↓
友引に葬儀はできない? 友引の日は火葬場が休み。よって式と火葬がセットで行われる告別式は出来ない(通夜はできる)。 みなさんはこんな認識を持っていませんか? でもこれって本当? そんな質問をいただきました。 はじめまして。[…]
二、死亡日が友引
友引の日に人が亡くなった場合、故人が生者を引くと考える地域があります。
友引の日に亡くなった人間は、寂しくて生者を引くという考え方です。
また、この日に亡くなった人間は縁のあった別の故人に引かれたと考え、負の連鎖を断ち切る目的で人形を入れる地域もあり、理由はいくつか存在するようです。
三、喪中の不幸
その家から死者が出ると、遺族は一定期間喪に服します。
四十九日までを忌中(きちゅう)、一年間を喪中(もちゅう)と言います。
忌中はともかく、喪中は現在年賀状くらいにしかその風習を見ることはできませんが、この喪中に一族から死者が出ると、2人目の死者の棺には、負の連鎖を止める為に、友引人形が入れられます。
もうこれ以上は勘弁しておくれ(;´༎ຶД༎ຶ`)!
という訳です。
一族といっても、どこまでの血縁関係者までなら入れるのか?という線引きは実に難しい所ですが、そこそこ近い親類縁者と大雑把にくくられている場合がほとんどです。
あとは遺族の気持ち次第といったところでしょうか。
友引人形の形状や種類
友引人形を入れる理由は十分お分りいただけたという思いますので、次は人形の形状や納め方について見ていきましょう。
友引人形の形状や種類については、特にこれといった決まりはありません。
故人が愛用していた人形があれば、迷わずそれを入れてあげましょう。
故人の寂しさを和らげてくれると共に、遺族にとっても後々人形供養をする手間が省けて、便利です。
故人の愛用品や自宅に手頃な人形がなければ、ご自身で買い揃えたり、自作した物でも問題ありません。
自前で準備すつのが大変であれば葬儀屋に依頼すれば、市販の友引人形を用意してくれます。コケシのようなタイプか、洋人形の2種類くらいは最低でも取り扱っているはずです。
中にはわら人形や土人形、変わったところで仏像なんてパターンもあります。
もちろんどのタイプも効果は同じです。
友引人形の納め方
特別な儀式などは必要ありません。
(これ以上不幸が続きませんように)という思いを込めて、そのまま棺に納めましょう。
ただし、人形の外箱が残っているなら、箱に入れて棺に納めましょう。
なければ適当な箱を用意して納めてください。
これは箱を人形の棺に見立てる風習があるからです。
友引人形の効果・効力
さて、友引人形を入れる意味や、納め方は分かったけど。。。
何より気になるのがその効果のほどは!?と言ったところでしょう。。。
ぶっちゃけ効果を感じたことはありません。
無いんかい!?
(`ε´)ぶーぶー
無いよ!!!ある訳ないだろー!!!
(#`皿´) ムキーーーー!
取り乱してしまいまして、申し訳ございませんm(_ _)m
まぁ、あくまでも迷信ですからね。。。
友引人形を納めて火葬した故人の弟さんが1ヶ月後に亡くなり、親戚からメチャクチャ文句を言われたこともあります。
ですが、、、
皆さん・・・
大人でしょ!?
迷信・願掛け・占い・天気予報は、当たれば『当然』、外せば『大バッシング』が世の常ですが、ぶっちゃけ迷信や願掛けの類は、良くも悪くも【当たるも八卦、当たらぬも八卦】が基本。
信じるか信じないかは、あなた次第です!
さいごに
信じるも信じないも人それぞれですから、最後はご遺家の意思に従いますが、しかしながら、やらずに何かあって後悔するなら、やって後悔した方が良くありませんか?
しかも不思議なことにこうした願掛けや病気・怪我等の保険の類は、しっかり対策をとっておくと何もないくせに、うっかり対策を怠った時に限って何かが起こるもの。。。
世の中上手くはいかないものですが、とりあえず入れておくに越したことはない!
私はそう思っています。
ストップ・ザ・道連れ!
もしも、友引絡みで気になる点がひとつでもあれば、遠慮なく担当の葬儀屋に相談して見てください。
まだまだ、死にたくなーい!
以上、葬儀の不思議な習慣、友引人形についてでした。