【とんでもない葬儀屋の話】
都内の病院でお亡くなりの方。家に帰ることだけを目標に、2年に
そんな事情もあり、ご遺族たっての希望で、病院から1日ご自宅で
安置所までの搬送は私とサブスタッフの2人で行った。故人が小さな
多少遠回りにはなるが、故人のことを思えばお安い御用だ。
遺族に見送られ、目的地を目指す。
喪主様から「狭い路地の一角にあり、分から辛い」と聞いてはいたが・
想像以上に入り組んだ路地。
周りをキョロキョロ見渡しながら、走っていると・・・
やってしまった!
故人の店の前辺りに差し掛かった時、一方通行の路地を逆走してい
しかもそんな時に限って事件は起きるもの。慌てて走り抜けようと
前からチャリで巡回中の中年ポリスメンがやって来る。素知らぬフ


免許証を受け取り、お決まりの違反処理を始める警察官。

※葬儀屋がご遺体の搬送に使う搬送車両(寝台車・霊柩車)はタク

事の成り行きを伝える。

車の後部に積んである棺を運転席から覗き見ながら、警察官の顔が

腕組みをして天を仰ぐポリスメン。
その瞬間、
ガシャーン!
遺族の希望でドーム型棺の上に乗せてあった、キーケース(店の鍵
どうやら細い道をクネクネ走ってるうちに落ちそうになり、ギリギ
ビクつく3人。
次の瞬間・・・


苦渋の表情で声を絞り出す警察官。

予想だにしなかったポリスメンの言葉に、戸惑いが止まらない。

えー!最後の一言はどうかと思うけど!
何だかんだ言っても警察官も人の子だな〜(*^-^*)
まぁ、何れにせよ助かった。
丁寧にお礼を言って、走り出そうとしたら、再び警察官に止められ
恐る恐る止まると、

豪快に笑いながら、寝台車の前を走って行く。
警察官って、怖いイメージしかないけど、案外良い人も多いんだな

警察官に見送られ、寝台車はゆっくりと式場に向かう。
車内に何とも言えない温かい空気が流れる。
サブスタッフからの意外な一言がぶっ放されるまでは・・・
安堵したのも束の間。助手席のサブスタッフが発した一言に、再び車内が

NOー!!!
見つかってたら、即免停必至!!!
車の運転できない葬儀屋なんて、まさに【飛べない豚はただの豚】
式場にご遺体を安置した足で、車検場に車を持ち込んだことは言う
この世に霊がいるのかどうかは知らないが、間違いなく命なき者に
皆さんも車検切れと交通ルールにはくれぐれもご注意をm(_ _)m
私は迷っていた・・・ このまま直進すべきか、信号を左折すべきか。 普段なら十中八九直進するのだが、その日はどうしてそうしようと思ったのか、今考えてみても良く分からない。兎に角私は左折することにした。 ウインカーを出して、ハ[…]