あなたが遺族なら【損傷の激し過ぎる故人の遺体】を見る?見ない?

面会はすべき?すべきではない?

腐敗してゾンビのようになった遺体/ウジ虫がわんさかたかっている遺体、事故でぐちゃぐちゃになった遺体、火事で黒焦げになった遺体、水中に沈んで水でブヨブヨになった遺体/皮膚がズル向けの遺体、干からびてミイラ化した遺体、完全に白骨化した遺体・・・

世の中、今にも起きだしてきそうな、綺麗なご遺体ばかりではありません。葬儀屋ともなれば、様々な状態のご遺体を目にするもの。

しかし状態の悪い遺体に遭遇した場合、一番困るのが遺族の面会をどうするかという問題です。

関係が薄く、状態の悪い遺体など絶対に面会しません!という場合なら良いのですが、中にはどうしても面会したいと言って聞かない遺族もいらっしゃいます。

綺麗な姿を覚えておいてほしいので全力で面会を止めますが、その一方でどんな姿にせよ、最愛の人の最期の姿を一目だけでも見せてあげたいという気持ちが少なからず存在するのは、人としてごく自然のこと。

非常に困りものです・・・

遺族から火葬の依頼が入る。

ご遺体は都内某警察署に安置されており、明日の引き渡しになりそうだとのことだったが・・・

首が飛んでいるらしい・・・

なかなかパンチあるやんけぇ・・・

翌日、担当刑事から指定された引き渡し時間に、当該警察署に赴く。

既に監察医務院(東京都の医者)の検案(死因の検査)は終わっており、遺体の引き渡しが可能と聞いて、警察署地下部分にある霊安室の前に寝台車を回すと、部屋の扉が開いていた。

中には扉に足を向けて、金属の台に寝かせられた裸の遺体が横たわっているのが見える。

通常はグレーのシートに包まれて、シートを開くまでは遺体が見えないようになっているのだが、たまに警察署によってはフルオープンの場合がある。

こっちも心の準備というものがある。ちょっとは気を使っていただきたいものだ・・・

棺を積んだストレッチャーを引きながら、ゆっくり霊安室に入る。

それに合わせて下からゆっくり身体を見回していく。

足・脛・膝・太もも・腰・腹部・胸部・首・下あご・・・

んっ!?

【首】に【下あご】?

きちんと繋がっている!?

首が飛んでるんじゃなかったっけ???

そう思った次の瞬間・・・

NOー!!!

無い・・・頭部が・・・無い・・・

いや、正確に言うとあるんだけど、無い・・・

若干何言ってるか分からなくなってしまったが、要するに下あごを残して、上あごから上の頭部は完全にペシャンコで、車に引かれた猫みたいになっていた・・・

詳しい経緯は割愛するが、仕事中に何トンだか何十トンだかの機材に頭部が潰されてしまった事故による悲劇だった。

目も耳も鼻も・・・全て原型をとどめないほどぐちゃぐちゃの肉片と化していた。

それでも突然愛する家族を亡くした遺族は、面会を強く希望した。

担当刑事が必死に止めていたが、何とかならないかと必死に食い下がる遺族。

刑事が困り顔でこちらに助けを求める。

葬儀社と警察による必死の説得が始まった。損傷の激しい遺体との面会を希望・実現させて、結果的に正解でしたと言った遺族はひとりも会ったことがない。

下あごから上の顔がペシャンコになった最愛の人を見て、利することなどひとつもない。

それでも遺族の一人が、顔をシートで隠した状態でせめて足だけでも触れたいと言う。

しかし、そう言って最終的には我慢できずに、シートをめくって顔を見てしまった結果、酷く後悔した遺族も何組も知っている。

取りあえず今日のところはこのまま一旦連れて帰るということで、どうにか話がまとまった。

物言いたげな顔の遺族に見送られ、遺体を積んだ搬送車が警察署を後にする。

葬儀社としては悩ましい瞬間だ。

後日談

顔の部分を専用のアンコを使って形を整えながら、包帯でぐるぐる巻きにして、身体には白装束を着せた。

その状態で火葬前に少しゆっくりお別れの時間を取ることができた。お体にもお触れいただき、ほんの少しだけ遺族の哀しみや心の負担を減らしてあげることができたのは、とても良かったと思っている。

余裕顔の納棺師と一緒に、泣きそうになりながら顔に包帯を巻く作業は、二度と御免こうむりたいところだが・・・

葬儀社と損傷の激しいご遺体との格闘は今日も続く・・・

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