「何故あいつは俺の気持ちをわかってくれないのか?」
知人から部下が自分の気持ちを理解してくれないと相談を受けた。どうにかして部下の売上を上げてやろうと、一生懸命サポートしているのだが、当の本人にあまりその気が無いらしい。
彼の会社は医療品の営業販売会社なのだが、どうしても部下の「やる気スイッチ」が見つからないと嘆いていた。悲しい話だ。
かくいう私も大手IT企業で現場の営業責任者をやっていた時に、 どうして部下はもっとやる気を出してくれないのかと、 ずいぶん悩んだ経験がある。
そこでたまたま知り合いになった、某大企業の会長さんから聞いた言葉がある。
部下は常に上司の背中を見て仕事への力の入れ具合を決めている。だから気持ち・行動全てにおいて102%の上司にはついてくるが、 98%の上司にはついてこない。
たった4%の違いだが、この違いは天と地ほどの違いがあるという。つまり私自身の仕事に対する気持ちや姿勢に、甘えや妥協があったということだ。
実際それは当たっていた。常に全力で仕事に臨んでいるふりをしていた私だったが、そこにはほんの少しだけ手抜きがあった。
誤解の内容に付け加えておくが、IT業界といえばかなりの激務で有名だ。そして私が手を抜いていたと自覚していた度合いは、物で例えるなら「半紙1枚分」そんなことろだ。
まさに「98%」という表現がぴったりだが、その半紙1枚分空気の違いを部下達はハッキリと感じ取っていたのだろう。
その言葉を聞いてから、自分の仕事に対する気持ちを見つめ直し、 103%の気持ちで仕事に打ち込むように心がけた。
120%とか200%と言わないところが私らしいが、それではすぐにオーバーヒートを起こしてしまう。長つ続ける為に、必要以上に頑張り過ぎないことも重要だ。
その結果、部下ひとりひとりが私の期待をはるかに超える活躍をしてくれたお陰で、気が付けば営業本部一の売上を叩きだすセクションになっていた。
出来る男は背中で語る! 頭ではわかっていても、実際にそれを実行するのはなかなか難しい。
しかしながらどんなにきれいごとを並べたところで、やはりまず自分が行動で示さなければ、部下はついてこないとい。
そんな当たり前のことを身をもって教わった瞬間だった。