【超簡単イスラム入門】「スンニ派」と「シーア派」の違い(相違点比較)

【スンニ派】と【シーア派】

何かとよく目にするイスラム教の二大勢力、「スンニ派(或いはスンナ派、スンニー派とも呼ばれる)」と、「シーア派」。

いったいこの2つの派閥はどう違うのだろうか?

イスラムの歴史の流れを追いながら、宗派の違いを誰でも分かるように簡単に解説する。

開祖『ムハンマド』の時代

西暦610年

ムハンマドがアッラー(アラビア語で【神】の意)への信仰を説き始める。

ムハンマド
ムハンマド
「よし!これからはアラーの教えに則って、規則正しく生きていこう!」

その後時は流れ・・・

ムハンマド
ムハンマド
「私はもう長くはない。みんな力を合わせて仲良く生きていくのだぞ・・・」

西暦632年 ムハンマド死去

初代正統カリフ
『アブー・バクル』の時代

スンニ派
スンニ派
「やべぇよ!ムハンマド様、後継者決めずに死んじゃったよ!」
スンニ派
スンニ派
「イスラム教徒の混乱必至!」
アブー・バクル
アブー・バクル
「心配には及ばん!ムハンマド様亡き後、彼の長年の側近にして義父でもあるこの私が、正統カリフ(最高権威者)として、イスラム共同体を束ねていくぞ!」
スンニ派
スンニ派
「頼んだぞ!アブー・バクル!」
※スンニ派の名称は「ムハンマドの慣行・慣習(スンナ)、つまり生前の行動や行いに従う人々」の意から。
シーア派
シーア派
「勝手は許さんぞアブーバクル!時期カリフは世襲制だ!」
シーア派
シーア派
「ムハンマド様の息子は皆死んでしまったが、自身もムハンマド様の従弟にして、後に養子、更にムハンマド様の娘ファーティマの夫でもあるアリー・イブン・アビー・ターリブ(以下「アリー」)こそ、最も血の濃い男性血縁者であり、次期カリフにふさわしい!」
※シーア派のシーアとは、アラビア語で「党派」の意味。つまり「(アリーの)党派」ということ。
スンニ派
スンニ派
「やかましー!!!」

o(`ε´)=====〇 バキッ!! ☆))XoX)

西暦632年

アブー・バクル即位

その後時は流れ・・・

アブー・バクル
アブー・バクル
「私の病魔はもうすぐ私の命を飲み込むだろう。後は頼んだぞ・・・」

西暦634年

アブー・バクル病気により死去

2代目正統カリフ
『ウマル・イブン・バッターブ』の時代

ウマル
「アブー・バクル亡き後は、ムハンマドの4番目の妻の父である私が、2代目正統カリフだ!」
スンニ派
スンニ派
「頼んだぞ!ウマル!」
シーア派
シーア派
「勝手は許さんぞウマル!今度こそ次期カリフは世襲制だ!」
シーア派
シーア派
「血の繋がりのないお前など出る幕ではない!アリーこそ、最も血の濃い男性血縁者であり、時期カリフにふさわしい!」
スンニ派
スンニ派
「やかましー!!!」

o(`ε´)=====〇 バキッ!! ☆))XoX)

西暦634年

ウマル・イブン・バッターブ即位

その後時は流れ・・・

ウマル
「待て!殺すでない!話せばわかる!!!」
ウマル
「ぐわー!!!(断末魔の叫び)」

西暦644年

ウマルが個人的に恨みを買った奴隷により暗殺される

3代目正統カリフ
『ウスマーン・イブン・アッファーン』の時代

ウスマーン
ウスマーン
「よし、これからはムハンマド様と妻ハディージャに次いで、世界で3番目にイスラム教に入信し、ムハンマド様の娘を2人も嫁に貰った私が3代目正統カリフだ。」
スンニ派
スンニ派
「頼んだぞ!ウスマーン!」
シーア派
シーア派
「勝手は許さんぞウスマーン!今度という今度こそ次期カリフは世襲制だ!」
シーア派
シーア派
「同じ娘婿と言えどもアリーこそ、最も血の濃い男性血縁者であり、次期カリフにふさわしい!」
スンニ派
スンニ派
「やかましー!!!」

o(`ε´)=====〇 バキッ!! ☆))XoX)

西暦644年

ウスマーン・イブン・アッファーン即位

その後時は流れ・・・

ウスマーン・イブン・アッファーン
ウスマーン
「ブルータス!お前もか・・・」
ウスマーン・イブン・アッファーン
ウスマーン
「ぐわー!!!(断末魔の叫び)」

西暦656年 

ウスマーン・イブン・アッファーン下級兵士の反乱により殺害される

4代目正統カリフ
『アリー・イブン・アビー・ターリブ』

アリー・ イブン・ アビー・ ターリブ
アリー
「待たせたな!ムハンマドの従弟にして、後に養子、ムハンマドの娘ファーティマの夫であり、最も血の濃い男性血縁者である私が正統カリフだ!」
シーア派
シーア派
「よっ!真打!待ってました!」
シーア派
シーア派
「ちょいとばかし不埒者がのさばっていたが、あんな連中は断じて正統カリフとは認めん!アリー様こそ真の正統カリフであり、シーア派における初代イマーム(指導者)だ!」
スンニ派
スンニ派
「まぁ、ええんちゃう?」
スンニ派
スンニ派
「そんじゃあ、アリーが4代目正統カリフってことで」

西暦656年

アリー・イブン・アビー・ターリブ即位

その後時は流れ・・・

アリー・ イブン・ アビー・ ターリブ
アリー
「おいおい、こんだけ待たしといて、そりゃ無いぜー!!!」
アリー・ イブン・ アビー・ ターリブ
アリー
「ぐわー!!!(断末魔の叫び)」

西暦661年

アリーがモスクで祈祷中に暗殺される

正統カリフ以降

シーア派
シーア派
「次はアリーの子供達がカリフ候補ですな!」
スンニ派
スンニ派
「いや、もう正直ムハンマド様の直系とかどうでもいいんちゃう?」
シーア派
シーア派
「何だとぉ!?どうでも良いとは、どういうことやねん!?」
スンニ派
スンニ派
「これからはムハンマド様の慣例(スンナ)を大切に、代表はみんなで決めていこうや。な?」
シーア派
シーア派
「何ぬかしとんねん!勿論スンナも重要やぞ。重要やけど、それは二の次や!」
シーア派
シーア派
「一番重要なのはイスラムの精神は、ムハンマド様の直系にのみ引き継がれていくっていう、そこやろが!?」
スンニ派
スンニ派
「いやいや、もうムハンマド様の作られたイスラムの精神は、イスラム共同体である我々みんなに引き継がれたわけやし。直系が一人で背負っていく類のものじゃなくなってんねん」
スンニ派
スンニ派
「だからまぁ、そうカッカせずにさ。取り敢えず次期カリフは今一番力持ってるムァウィーヤってことで、ひとつヨロピク。彼を怒らせたら洒落にならへんぞ?」
シーア派
シーア派
「認めん!絶対に認めんぞー!何と言われようと次期カリフは、アリーの子供達だけじゃからのー!」」
スンニ派
スンニ派
「じゃかーしー!大多数の人間がそれで良いって言っとるんじゃい!嫌なら勝手にしやがれ!この石頭!」
シーア派
シーア派
「フンッ!」
スンニ派
スンニ派
「フンッ!」

どうです?これがスンニ派とシーア派です。

簡単でしょう?

※便宜上最初スンニ派とシーア派を完全に分けているが、もちろん早い段階から明確にそれぞれの派閥・組織が存在していた訳ではない。

相違点のまとめ

日本人の中には、例えば真言宗と浄土真宗のように、宗教そのモノの解釈の違いからくる宗派対立だと思っている人も多い。

しかしあくまでも根本的な原因は跡目争いであり、そこから派生した政治的な対立だということだ。

よってイスラム教そのモノの解釈とか、信仰という根本的な部分にはさほど違いはない。

スンニ派

ムハンマド以降の4人を正統なカリフ(最高権力者)と認める。 
ムハンマドからみんなで受け継いだ精神と慣例・慣行を大切に、4代カリフ以降は話し合いで王を決めていくべきだと考える。 
つまり・・・ムハンマドという絶対君主亡き後、その時最も相応しい代表を選ぶ民主主義的な立場からイスラム国家を運営しよういうのがスンニ派。 

シーア派

元々はアリーの支持者層 
ムハンマドとアリー、そしてアリー亡き後はその子孫しか正統なカリフとは認めない。 
世襲制による独裁国家的な立場からイスラム国を運営しようとするシーア派 

その他の相違点

その他の代表的な相違点も示しておく。

スンニ派はシーア派に比べで戒律を重視する。 
シーア派はスンニ派に比べて、戒律よりも信仰の内面を重視する。 
シーア派はスンニ派程には偶像崇拝を禁忌としていない。 

まとめ

勿論細かな相違点はこれ以外にも多々ある。

ネットを見ているとそうした相違点をあげつらい、教義の観点から「スンニ派とシーア派は明確に違う」と主張する人間もいる。

また、彼らには明確な派閥意識があると主張する人間もいる。

だが、何度も言う様に元々の原因が跡目争いなのだから、大して違いが出てくるはずがない。

実際少なくとも私がエジプトで暮らしている時分、両者の間に大きな溝や隔たりを感じたことはない。

よって彼らには我々が考えている程、教義上に関する明確な派閥意識はないというのが私の考えだ。

二大派閥の問題点

では何故近年こうした対立が頻繁に取り沙汰されるのだろうか?

イスラム教全体でスンニ派の占める割合は85%に上る。

一方のシーア派は15%程度だ。

過去の跡目争いに敗れ、異端扱いに堕ちた少数派のシーア派は、社会的弱者であり、経済的・社会的に困窮することが多い。

どこの社会でも弱者は何かと問題を起こし、社会の鼻つまみ者となりがちなもの。

必然的に社会的弱者である下級層と、富と権力を持つ中上級層の争いという構造になる。 

強引に例えるならば、日本における自民党支持者と社民党支持者の対立、アメリカにおける共和党(支配層)と民主党(非支配層)の対立の様なものだ。

国内が安定している日本やアメリカなどと違い、情勢が不安定なイスラム国家では、ふたつの勢力による激しい対立や混乱に繋がる事態も起きる。

また、近年ではイスラム過激派が台頭し、敢えてこうした派閥争いを煽り、イスラム全体を分裂と混乱に陥らせようとしている。

開祖の理念や宗教そのモノの本質とは全くかけ離れた政治的思惑により、イスラムが大きな分裂に危機にあることは、非常に悲しいことだ。

ムハンマドは墓の下で泣いているに違いない。。。

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