幽霊が見えたら葬儀屋辞めます!-夏の怪談-

【とんでもない遺族の話】

数年前のまだ私が葬儀屋になったばかり、ほんの駆け出しだったの頃の話。

東京の郊外にある古びた斎場。

年に数える程しか訪れることのないその斎場で、久しぶりに葬儀を行った。

普段からそれ程利用者の多くはない式場。夏の閑散期ということもあって、その斎場にあるいくつかの式場のうち、通夜をやっていたのは私達の式場だけだった。

通夜はしめやかに営まれた。

故人様は70代の女性。喪主様は40代の息子様。

無事に通夜が終わり会葬者は、通夜ぶるまいの食事の席へ。

ひと盛り上がりした後、ひとりまたひとりと家路につき、そのうちにお開きとなった。

最近では通夜晩に斎場に泊まらないご遺族も増えたが、最後だから喪主様は泊まりたいとおっしゃられたので、布団の手配等、お泊りの準備は済ませてあった。

片付けの支度をしていると、宿泊部屋に移動したはずの喪主様がひどく慌てた素振りで飛び出して来た。

駐車場の車に道具を積み込んでいる私達を見つけ、青い顔をしながら近づいて来た喪主様が、口早に筆問する。

喪主男性
喪主
「今日この斎場に泊まる人間って、私一人だけなんですよね?」
 
「お通夜は一件だけですから、喪主様だけですね。でも大丈夫ですよ。宿直室に夜勤の守衛がいますから」

私がそう言うと、喪主様が今にも泣きそうな声で呟く。

喪主男性
喪主
「帰っても良いですか・・・?」
 
「えっ?何かあったんですか?」

思わず聞き返す私に喪主様が、食い気味に言葉を重ねる。

喪主男性
喪主
「帰っても良いですか?死人が・・・怖いんですよ・・・」

いやいや、自分の親だろー!!!と思ったが、どうにも様子がおかしい。

 
「大丈夫ですよ。ただし布団代などの諸経費は返金出来ませんし、何よりお母様と過ごせる最期の晩ですよ?」
喪主男性
喪主
「良いんです!!!」

吐き捨てる様に言い放つと、そのまま凄まじい勢いで宿泊部屋に入っていったかと思うと、これまた凄まじい勢いで荷物をまとめて飛び出してきた。

そして私達の元にやって来るなり、一気にまくしたてる。

喪主男性
喪主
「わがまま言ってすいません!でもいろんな方々が・・・私の部屋をひっきりなしに通過していくもので・・・。うゎ・・・そこの木にも首を吊った女性が・・・。あっ!失礼しました。それじゃあまた明日!」
喪主男性
喪主
「ごめんなさーい!!!」

そう言って慌てて車に乗り込み、走り去る喪主様。

いや~な沈黙に包まれる周辺一帯。

恐る恐る後ろにある何の変哲も無い(少なくとも我々にはそう見える)木を見上げるスタッフ一同。

ショップ店員
料理屋
「ひっきり無しに通過していくらしいですよ・・・何かが・・・フフッ」
葬儀スタッフ
スタッフ
「この木にも首吊り女性がいるって・・・」
 
「まさか、そんな・・・ハハッ・・・」

私がそう呟いた次の瞬間!

パキッ!

カラカラカラッ!

幽霊

木の枝が一本折れて落下すると同時に、冷たい何かが背中に触れたような気がした。

(|||ノ`□´)ノオオオォォォー!!

まるで示し合わせたかのように、全員が同時に悲鳴をあげた。

 
「大至急撤収!!!」

その後、私達が今まで見たこともないスピードで後片付けを済ませ、斎場を飛び出したことは言うまでもありません。

見えない体質だから良かったけど、あの時背中に感じた異様に冷たい「何か」を、今でも忘れることが出来ません。

頼むから成仏してくださいませ・・・

ナンマイダ ナンマイダ~泣

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