【ネパール地震2週間】2人の分も生きる 妻とおなかの子、失った男性

カトマンズ

ネパールを襲ったマグニチュード(M)7・8の大地震から9日で2週間を迎える。

がれきの間を通り抜ける人や車が増え、街はゆっくりにぎわいを取り戻しつつある。

「悲しむばかりではだめだ。二つの命の分まで生き抜く」。

首都カトマンズ近郊サンクーで雑貨店を経営するブペンドラ・バシさん(42)も、2人目の子を宿したまま亡くなった妻ヤソダさん(38)にそう誓い、自宅と店の再建に動き出した。  

「食事の用意ができたから戻って来て」。4月25日正午前、ヤソダさんからの連絡で自宅に入ろうとした瞬間、強い揺れに襲われた。

れんが造りの3階部分が、目の前で崩れ落ちた。急いでがれきをどけると、かすかに息をする妻がいた。近くの病院に運んだが、だめだった。

ヤソダさんと結婚して5年。「親戚を含め8人の大家族だったが、皆に優しく、すぐに溶け込んでくれた」。長女ナムラタちゃん(4)を授かり、2人目が4カ月に入っていた。「男の子か女の子か、どちらだろう」「子供にいい暮らしをさせるため、もっと仕事を頑張ろう」。毎日の会話が楽しかった。

「あと数分早く家に帰っていたら妻とおなかの赤ちゃんを救えたかも」。被災直後、避難所の小学校で布団にくるまるたび、そんな思いにとらわれた。

「いつお母さんと会えるの」。別の場所で助かり、今は親戚に預けているナムラタちゃんからの電話にもまだどう答えていいか分からない。  でも、少しずつ気持ちに変化が出てきた。

「自分だけが悲しいわけではない」。近所には3人、4人と家族を失った人がいる。命日から13日目の7日、ヒンズー教の教えに従って川で身を清め、2人の冥福を祈った。  

「妻は生まれ変わってもっと良い生活ができるはずだ。いつまでも悔やんでいてはつまらない」。悲しみを振り払い、がれきと化した自宅や店の整理を少しずつ始めている。

「生活を立て直すためには住む場所と仕事が必要だ。政府に低利で資金を貸してほしい」とバシさん。そしてヤソダさんに誓う。「もっと仕事を頑張って必ず再起してみせる。見ていてほしい」  

毎日新聞

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