【東日本大震災】捜索縮小のなか「肉親、必ず見つけ出す」 父が残したキーホルダーに誓う

◇父が残したキーホルダーに誓う

宮城県名取市植松の会社員、佐藤洋孝(ひろたか)さん(23)は、父吉男(よしお)さん(54)を捜している。

がれきに埋もれた吉男さんの車にあったキーホルダーを握りしめ、同市の遺体安置所に通う。

洋孝さんは昨年6月に結婚。海岸そばの同市閖上(ゆりあげ)の実家に両親を残し、海岸から5キロ以上離れた内陸の新居に移った。

3月11日朝。吉男さんは仙台市の会社に出勤した。洋孝さんと母真理江さん(57)は勤務先が同じで、ともに名取市の職場に出社した。

震災発生時、洋孝さんは営業先の仙台市にいた。会社に戻る途中、携帯電話が鳴った。発生から25分後のことだった。

「大丈夫か。おれは大丈夫だ」。吉男さんだった。無口で不器用な父とのいつもながらのやりとり。これが最後になるとは夢にも思わなかった。

妻(23)と母は無事で、新居も被害は免れた。しかし停電となり電話も不通。情報は入らず、実家周辺の惨状を知ったのは2日後だった。

父との音信は途絶えたまま。4月1日、仙台市から閖上に向かう橋の手前で、吉男さんの車を発見した。

車内に、いつもダッシュボード上に置かれていたキーホルダーだけが残っていた。外国アニメのキャラクター。物心ついた時から記憶にあるが、吉男さんが、なぜ持っていたのか分からない。家が流された今、父の思い出の品はこれしかない。

孫と3人で釣りをしたいと、吉男さんはよく言っていた。願いはかなわないかもしれないが「必ず見つけ出す」。キーホルダーに向かい、誓った。

毎日新聞

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