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「友引」でも葬儀はできるの?葬儀で茶碗を割るのはなぜ?-地域の変わった風習

地域による差も大きく、意外と知らないことの多い伝統的な葬儀式。

 

近年、都市部を中心に急速な簡素化が進み、益々葬儀に関する諸々が廃れつつある日本ですが、伝統的な葬儀に関する興味深い記事を発見したので、紹介させていただきます。

 

短い取材時間で書かれた為か、不足部分も散見されますので、その辺りを補いながら解説していきたいと思います。

 

「友引」でも葬儀はできるの?葬儀で茶碗を割るのはなぜ?-地域の変わった風習

 

茶碗を割る

山村美紗原作のサスペンスドラマ『赤い霊柩車』シリーズは、葬儀社が舞台なので劇中にも葬儀風景が登場する。なかでも印象的なのは、霊柩車が式場を出る際に茶碗を割るシーンではないだろうか。ほぼ毎回、山村紅葉演じる内田良恵が茶碗を地面に叩きつけている。  

これは京都の風習で、割られているのは故人が使用していた茶碗なのだとか。その理由は、故人が現世に戻らないため。つまり、この世でもう食事はできないのだから、無事に成仏してほしいという願いが込められているそうだ。同様の風習は、福岡県でも見られることがある。

 

葬儀で茶碗を割る

解説

過去、全国的にこの手の風習は珍しくありませんでした。決して京都や福岡だけの特殊な風習ではありません。

 

家から出棺する際に棺をぐるぐる回して死者の方向感覚を狂わせたり、故人の日用品を玄関先で壊したりするのは、すべて死者が戻って来ないようにする為の一種のおまじないです。

 

死者の魂を沈め、神仏の加護をもたらすとされた陰陽師や神官、僧侶が中央政権内で、強い権力を誇ったことからも分かるとおり、古代の日本人にとって、死者の霊は大変に恐ろしいものだったのです。

 

陰陽師

 

これらの風習は、さすがに首都圏の都心部では見られなくなりました。

 

しかし都内でも、都心部から少し離れた八王子や多摩などの地域で、かつ古風な喪家ならば、まだ十分に見られる風習です。

 

友引

京都では、一般的には避けられる友引の日でも葬儀を行うことがあるという。「友を道連れにする」とされる日だが、友人形といわれる人形を棺にいれることでこの問題を解消し、葬儀を行っても問題ないとされている。

 

葬儀 友引は火葬場が休み

解説

友引は多くの火葬場にとって定休日です。本来葬儀とは何の関係ありませんが、業界の休みのために利用されているのが現状です。

 

しかし、どんなルールにせよ、不測の事態に備えて例外は作っておかねばならないもの。

 

そこで考え出されたのが、京都のような事例なのでしょう。

 

「人間の代わりに人形を入れるから、誰も連れて行かないでねm(_ _)m」というわけです。

 

そもそも友引人形とは、不幸の連鎖を食い止める為に生み出されたものです。

 

ある一族内で立て続けに人が死ぬと、人々は先に行った人間に引っ張られたと考えました。

 

そこで一年に二度以上の不幸が訪れた家などは、これ以上連れて行かれないようにという願いを込めて、二人目からは死者の棺に友引人形を入れて火葬します。

 

この手の使い方の友引人形は、今日の都心部でも普通に見られます。

 

それをもっと大胆に応用したのが、京都の事例と言うことでしょう。

 

葬儀 友引人形

 

いずれにせよ宗教観が薄れ、迷信を信じない人達が増える一方で、時代は大量葬儀時代に突入しつつある日本。

 

火葬炉の数が圧倒的に不足してくると、友引のあり方に異を唱える勢力はもっと強くなっていくでしょう。

 

すでに首都圏の火葬場でも、太田区にある臨海斎場や、横浜市内の斎場(持ち回り)、千葉県の関宿斎場などでは、友引の日も葬儀や火葬が行われています。

 

川崎市の一部の斎場でも試験的に友引の可動を開始しました。

 

今後この流れは、さらに強くなっていくことでしょう。

 

葬儀業界と友引の関係については。こちらの記事に詳しく書いてあります。参考にしてみてください。

 

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水引

ほかにも、弔事に黄色と白の水引を使用するなど、葬儀にも独自の風習が見られる。これはほかの地域も同様で、調べてみると一般には「変わっている」とされる風習が多数見受けられるのだ。  

 

お香典 黒い水引

解説

ご存知のとおり、葬儀の水引は黒と白を使います。その後、悲しみが薄まるにつれて、水引の色も薄くするという考え方から、一周忌などの法事には、黄色と白の水引を使います。

 

法事ではなく弔事(葬儀)にこの黄色と白の水引が使われているとしたら、確かに珍しいことですね。

 

お香典 黄色い水引き

 

恐らく80歳とか、一定以上の年齢で亡くなった方の葬儀で使われるのではないでしょうか?

 

天寿を全うした門出のお祭に相応しく、必要以上に「悲しまない」という意味合いが込められているのかも知れません。

 

香典に領収書

たとえば北海道では、香典にも領収書が発行される。さらに、香典袋の表面には、名前だけでなく住所も記入するのが特徴だ。

 

北海道の葬儀 香典に領収書

解説

領収書についてはある程度経験のある葬儀屋なら、誰でも知っています。

 

故人が北海道の人間

 

親戚が北海道にたくさんいる

 

そういった話を聞くと、事前に領収書を用意しておかなければならないからです。

 

ちなみに会葬者にとっては香典は必要経費と見なされます。領収書を持って税務署に経費申請すれば、例えサラリーマンであっても、税金控除の対象になるって知ってました?

 

香典袋のオモテ面に住所を書くのは、何度か見たことがあります。その時は北海道の風習だとは、考えもしませんでしたが。。。

 

詳しい理由は知りませんが、おそらく面倒を減らすためでしょう。

 

現在、記帳はカード形式のものが一般的です。一度に多くの人が記帳できるし、それをまとめてバインダーに閉じておけば、後から見返すのも簡単です。

 

しかし、以前は帳面でした。

 

必然的に帳面の前には記帳待ちの行列ができます。

 

記帳が面倒くさい、時間がないという理由で、記帳しない人間もいるでしょう。

 

そうなれば受付が後々、帳面に記入しなければなりません。水引を外さなければ確認できない中袋に住所が書いてある場合などは、確認だけでも大変です。

 

また後日、喪家が香典を改める際も、オモテ面に住所が書いてあれば、簡単にどこの誰だか確認することができます。

 

こうした手間を省くため、あるいは葬儀という場面上、香典の見た目をよりカッチリしたものにしたかったのかも知れませんね。

 

前火葬

また北海道では葬儀の流れも独特で、まずは火葬を行ってから通夜、告別式を行う地域があるという。  

 

前火葬 骨葬

解説

これを「前火葬」、遺骨になってからの葬儀のことを「骨葬」と言います。

 

土葬から火葬に移り、葬儀式というモノが確立されてくると、遺体の保全の関係から、日本の葬式は前火葬が一般的となりました。

 

ドライアイスや、霊安室、空調設備の整っていなかった時代。特に北海道では、温める施設は充実していても、「冷やす」設備は圧倒的に不足していたはずです。

 

遺体の腐敗を防ぐために、一刻も早く荼毘に付したかったのだと推測されます。

 

ちなみに告別式の日の午前中に火葬し、午後から告別式(骨葬)を行う形式の葬儀は、北関東では今でも主流です。

 

火葬のタイミングに多少の差はあれど、全国的にも前火葬は地方部ではまだまだ多く見られる風習です。

 

衣服を裏返しにして水をかける

長崎県では、故人の衣服を裏返しにし、水をかけて吊るしておく風習がある。おもに諸島部に伝わる習わしのようだが、水には清める意味があり、けがれを祓う意味が込められているのではないかといわれている。同様の風習は、関東の一部の地域でも見られることがある。  

 

着物・衣類をさかまさに着せる

解説

水にはケガレを清めると共に、水に流すという意味合いもあります。

 

着物を吊るしておくことによって、「辛い不幸を水に流す」という意味もあるのでしょう。

 

着物を反対に吊るすのは、不幸が続きませんようにというおまじないです。

 

故人の遺体に着物を逆さに羽織らせて納棺する、着物の襟を左前にする、箸をご飯に刺す、遺骨を二人で箸渡しをする・・・

 

葬儀にはこうした普段とは敢えて逆(通常はやらないこと)のことを行う場合が、多く見受けられます。

 

普段とは逆のことをすることで、負の連鎖を断ち切りたい、つまりこれ以上不幸が続かないようにという願掛けなのです。

 

紅白の水引を使ったお見舞い

首都圏では、埼玉県秩父地方の水引が独特だ。一般的には白黒で、表書きは「ご霊前」とするものだが、秩父では通夜のときに、紅白の水引を使って「お見舞い」として渡すこともある。  

これはめでたいからというわけではなく、お見舞いに行けずに申し訳なかったという意味が込められているそうだ。非常に珍しい風習だと思うのだが、新潟県などほかの地域でも見られるのが興味深い。  

 

葬儀のお見舞いは赤い水引

解説

秩父などの埼玉県北部に限らず、栃木・茨城・群馬といった北関東ではごく一般的な風習です。

 

また新潟だけでなく、地方から東京の葬儀に出席する人達で、こうしたお見舞いを持ってくる人はちょくちょく散見されます。

 

私から言わせればそれほど珍しい風習とも思えませんが・・・

 

葬儀に赤飯

葬儀という場にめでたいとされる品が出ることは、ほかの地域でもある。それは、福井県の赤飯だ。大往生をまっとうした祝い、不幸から幸福へ転じるためなど諸説あるが、初めて目にしたときには驚いてしまいそうだ。 

 

葬儀に赤飯

解説

赤(朱)い鳥居・赤門・赤い袴・・・

 

赤は神聖な色です。慶弔事は神仏との関わりの深い神聖な儀式です。だから赤い飯、つまり赤飯を食べるのです。

 

しかし、数・インパクトともに祝い事の方が、はるかに弔事を上回ります。こうして赤飯=慶事というイメージが定着していったものと思われます。

 

大往生した祝いや不幸から幸福へという考えは、こうした祝い事=赤飯というイメージに引っ張られて出来た後付けと考えられます。

 

ちなみに福井などでは、涙で薄まったとして、少し色の薄い赤飯を出すそうです。

 

糖・鰹節・お金を撒く

ほかにも、清め塩とともに糠や鰹節をかける風習があったり、墓地へ行く際にお金を撒いたりと、ひとくちに「葬儀」といってもさまざまな風習がある。さらに、宗教や宗派によっても異なるため、驚くような習わしに遭遇することがあるかもしれない。故人を弔うためにも、参列する際は相手方の習わしなどを調べておいたほうがよさそうだ。

 

墓地に鰹節を撒く

解説

墓地にお金を撒くのは、三途の川の渡し賃、あるいはあの世でお金に困らないようにという意味でしょう。自宅から出棺する際に、屋根や空に向かってお金を撒く地域もありますが、同様の意味合いです。

 

糖や鰹節をかける風習は初めて聞きました。

 

昔は糖や鰹節は大変高価で重宝されたものでした。一昔前まで葬儀の返礼品には、主に砂糖が配られ、会葬者には葬式饅頭が振舞われていました。

 

鰹節に関しては、Wikipediaに以下のような記述が見られます。

 

宮下章が、『鰹節考』の中で「カツオほど古代人が貴重視したものはない。(中略)米食中心の食事が形成されて以来、カツオの煎汁だけが特に選ばれ、大豆製の発酵調味料と肩を並べていた」と述べているように、カツオが古代人にとっては最高の調味料だったといえる。

Wikipedia

 

こうしたことから、敢えて高価で大切なものを死者に手向ける風習が出来ていったのではないかと考察されます。

 

葬儀の葬式饅頭

 

「生きているうちは満足に食べられなかったけど、最後くらいは・・・」

 

そんな思いだったのかも知れませんね。

 

いずれにせよ、最後のセレモニーである葬儀は、知れば知るほど奥深いものであることが分かります。

 

都心部を中心に、急速な簡素化が進む葬儀ですが、やはり伝統的な考え方というのは大切にしていきたいものですね。

 

 

合わせて読みたい!いや、読んでいただきたい!

いやいや、読んでくださいm(_ _)m!

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