精進落としの本膳(懐石膳)
告別式の後に食べる「精進落としの本膳」
そんな精進落としの料理に関する基礎知識(食べる時の大切な心得・意味・喪主挨拶・席順)等をご紹介します。
葬儀も一段落したから、美味しいもでも食べて皆を労おう♪
いやいや、全然違うから!!!
まぁ良いけどね・・・ってのっけから、すいませんm(_ _)m
忌中と精進料理
気を取り直して本題です。
近しい人が亡くなると、遺族は【忌中】に入ります。
平たく言えば、【喪に服す】ということですが、この期間はいつもよりも控えめで、つつましやかに、ただじっと故人の浄土への往生を願って生活するよう求められます
この間は、食べる物にも厳しい制限が課せられます。その基準をクリアしたのが精進料理です。
精進料理(しょうじんりょうり)とは、仏教の戒律に基づき殺生や煩悩への刺激を避けることを主眼として調理された料理。
進料理では避けるべきと考えられている食材が大きく分けて2つあり、1つは動物性の食材、もう1つは五葷(ごくん)と呼ばれるネギ属などに分類される野菜である
精進料理を一言でいうと、「野菜中心の質素な料理」ということですね。(意外と作る手間はかかるんですがね・・・って料理屋の担当が愚痴ってましたけど泣)
「精進落とし」って何?
強い意志を持ったベジタリアンや、最近はやりのビーガンならいざ知らず、普通の人間がこうしたキリンみたいな料理に長い間耐えることは出来ませんよね。
そこで一定期間が過ぎると、晴れて「解禁!」となる日が来るわけです。
それが四十九日の忌明けです。
それまで精進料理しか箸をつけることが許されなかった遺族が、精進料理を【落とす】、それが精進落としの料理です。
つまり彼らにとってそれ以外の料理が、解禁されたことを意味する料理なんですね。
肉だ!魚だ!ワーイ!ワーイ!
現在の精進料理
しかし、現代人は何かとせっかちでとにかくワガママな人種です。
忌明けなんて、待ってられるか!
って言うんで、現在は告別式終了後に召し上がることが一般的となった精進落としの本膳。
それだけでも昔に比べて、大幅に早い解禁となっているわけですが・・・
通夜振る舞いの料理
いや待てよ・・・そう言えば(葬儀の)打合せの時・・・
寿司、肉、卵・・・
告別式終了どころか、
通夜でいきなり食ってるやんけー!
住職、ガツンと言ってやってくださいよ!
坊主!てめぇコラー、頭出せや!!!
時代の流れと共に変化していくものですから、それはそれで良いのですが、そもそもの意味くらいは覚えておいていただければ幸いです。
ちなみに一昔前の通夜振る舞いと言えば主に煮物や、ちらし寿司、おにぎりなんかを出していました。
言うまでもなく、時間を割いて弔問に来てくださった方々へのおもてなしです。
遺族は弔問客の対応に忙しいので、組合(町会)の女手が総出で作るのが習わしでした。
東京ではほぼなくなりましたが、地方では今でのエプロン姿の女性陣が、忙しそうに弔問客の接待をしているはずです。
料理をいただく心構え
先述の通り、風習や習わしは時代と共に変化するものです。
葬儀も例外ではありませんが、精進落としの料理を召し上がるにあたって、ふたつだけ変わらず心に留め置いておかなければならないことがあります。
さて何でしょう?
料理を用意したのは故人
精進料理は故人様が参列してくれた皆様に、感謝の意を示して用意したお料理だということです。
もちろん実質的にはご遺族が用意するのですが、遺族はこの世での故人の存在が、ご縁が作り出した存在であり、その遺族が故人様の為に用意する葬儀の一切は、故人の遺志であるとも言える訳です。
故人の遺影が優しくそう語りかけていると考えると、料理がまた違った特別な意味合いを持ったものになってくるのではないでしょうか?
故人の心根に触れ、心の中の故人への思いが、より一層深くなる、それが精進落としの本膳なのです。
我々は命をいただいているということ
「近しい人が亡くなる」「葬儀」「生と死」 「忌中」「期明け」「精進料理」「精進落としの料理」「(食べたい物を)食べられる喜び」「食の有り難さ」「食べなければ生きて行けない」・・・
そうしたキーワードを改めて並べてみると、「我々は命をいただいて生きている」という現実が、より深いものとなって見えてくる、あるいは改めて考えさせられる一因になるのではないでしょうか?
ベジタリアンと私も含めてそうでない人間とのバトルや、食にまつわる論争が繰り広げられることの多い昨今ですが、いずれにせよ「他の命の上に成り立つ我が命」、この事実はしっかりと胸に刻む瞬間が、精進落としの席なのです。
故人様の思い出話に花を咲かせながら、美味い料理に舌鼓を打つ。
遺影の中の故人様が、少~しだけ、微笑んでいるように見えるかも知れませんね。
挨拶・席順
その他精進落としの本膳に関する知識をいくつか。
席順・座り順
本来は葬儀は遺族が参列者を労うもの。
通夜振る舞いも含めて、食事の席は遺族が末席となるのですが、南関東では、遺族が一番上座に座るスタイルがほぼ定着しています。
また、その他の席順に関しても、「細かいことは言いっこなし」となっています。
たまに地方から出てきた故人の兄弟などが、
などとごね出したらぶん殴って、遺族は一番上座(位牌・遺影・遺骨に一番近いところ)、それ以外は、お膳のある席にとっとと座らせましょう!
おば様方特有の無意味な席の譲り合いと、いつまでたっても始められない会食に、葬儀屋はいつもイライラしています。
喪主・遺族代表の挨拶
ただでさえ、会葬者は疲れています。ハラが減っています。
人は疲れていたり、ハラが減っているとどうなるか?
そう!イライラします!
難しい話や、長ったらしい話はNGです。下手をすると撃たれます!
あれもこれも語りたい気持ちも分からないでもないですが、ここはひとつ堅苦しくならず、手短に行きましょう!
挨拶の構成と例文
【御礼】
本日は私の父、故○○のために、お集まりいただき、有難うございます。
父も喜んでいると思います。故人に成り代わり御礼申し上げます。
【食事の案内】ささやかではございますが、お食事をご用意させていただきました。
【短いエピソード】父は明るい性格で、みんなで集まってワイワイ食事をするのが大好きな性格でして、よく母に無断で同僚や友人を家に招待しては、大目玉を食らっていました。
【お願いと御礼】
そんな父のために、限られたお時間とはなってしまいますが、父のことをお偲びいただき、お時間の許されます限り、懐かしい思い出話などをお聞かせいただければ幸いです。本日は誠にありがとうございました。
故人を偲んで、是非楽しいご会食を!
それでは、改めまして、
実食!!!